高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムの利用が日本国内でも進んできた。[br] 通信の遅れが少なく、多数の通信機器を同時につなぐことができる新時代のモバイル通信技術は、スマートフォンを使った個人での利用や、自動運転車、遠隔医療などへの活用で人々の生活にも変化や恩恵をもたらす。[br] 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い「新しい生活様式」を模索する段階にある。感染を避ける暮らしに役立つサービスや、地方が目指す社会経済構造の改革にもつながる活用法など、多彩な5Gの利用を図りたい。[br] 5Gのキーワードは「高速・大容量」「低遅延」「同時・多接続」だ。高速で大容量の通信によって8Kや4Kの高精密度映像が送信でき、スポーツや音楽の中継映像を大型モニターにリアルタイムで映し出せる。リモート方式でもファンは、より臨場感のある様々なコンテンツを楽しめる。[br] 仮想現実(VR)、複合現実(MR)の映像開発が進めば、高精密画像のVRで史跡などの描写や理化学実験などの詳細を表現でき、教育分野での効果が高まるだろう。また遠方にいる医師に患者の磁気共鳴画像装置(MRI)などの大容量情報を高速転送することも可能で、遠隔診療・治療分野での対応力は格段に向上する。[br] 「低遅延」、つまりリアルタイムの特長を生かしたビジネスとして、さまざまな分野での無人化作業が挙げられる。従来のWi―Fiなどを利用した遠隔操作では、操作する際に映像のずれが生じ、作業効率が低下するなどの問題があった。5Gを活用することでスムーズに操作が行える。実用化を目指す自動運転車の遠隔監視自動運転システムにとって、5Gは欠かせない技術となっている。[br] さらに5Gの長所である「多接続」を組み合わせることで、コロナの感染防止に有効な「人との接触機会の減少」の実現が可能となる。建設現場での重機の無人操作や、ロボット配置のスマート工場など産業分野のほか、高齢化と人手不足に悩む農業、林業への活用も広がる。[br] もちろん5Gの利用定着には課題も多い。携帯電話各社のサービス利用エリアが限られることや、端末代金が高額で個人の利用には障壁もある。 さらに5Gネットワークに接続される端末が増えれば、その分サイバー攻撃の危険性も高まる。利便性が増す半面で、セキュリティーやプライバシーを侵害する危険も高まることを認識しなくてはなるまい。