ネココロナ研究18年「知識、技術提供を」北里大・高野教授、ワクチン開発支援へ

「コロナ制圧タスクフォース」のメンバーとして、新型コロナウイルスのワクチン開発に参加する髙野友美教授=10日、十和田市の北里大獣医学部
「コロナ制圧タスクフォース」のメンバーとして、新型コロナウイルスのワクチン開発に参加する髙野友美教授=10日、十和田市の北里大獣医学部
世界各国で新型コロナウイルスのワクチンの研究開発が進められる中、十和田市にも研究に携わっている専門家がいる。北里大獣医学部・獣医伝染病学研究室の高野友美教授(42)だ。5月に国内の各大学の専門家が集まり、発足した共同研究グループ「コロナ制圧.....
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 世界各国で新型コロナウイルスのワクチンの研究開発が進められる中、十和田市にも研究に携わっている専門家がいる。北里大獣医学部・獣医伝染病学研究室の高野友美教授(42)だ。5月に国内の各大学の専門家が集まり、発足した共同研究グループ「コロナ制圧タスクフォース」に参加している。高野教授はネコが感染するネココロナウイルスの研究に18年間携わっており、「研究で培ってきた知識や技術を、新型コロナの研究に惜しみなく提供したい」と力を込める。[br] 研究グループは慶応大、東京医科歯科大、大阪大、東大医科学研究所など八つの大学や研究機関で立ち上げ。メンバーは感染症学やウイルス学、分子遺伝学、ゲノム医学など、異なる分野の専門家からなる。[br] グループは、新型コロナによる日本人の死者数が、欧米人より少ない点に着目。医療機関から提供を受けた血液検体を基に、日本人患者の重症化や軽症・無症化に関する遺伝的な情報を解析し、ワクチン開発につなげる考えだ。[br] 高野教授は新潟県の旧小須戸町(現新潟市)出身で、北里大獣医学部、同大学院博士課程を修了。在学時から同研究室で、主にネココロナウイルスの治療薬とワクチンについて研究し、完成を目指している。[br] コロナウイルスは遺伝子配列により四つのグループに分けられ、今回の新型コロナと、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)は同じ分類だが、ネココロナウイルスは別の分類だという。[br] ウイルスそのものは異なるが、高野教授は「ネココロナウイルスの研究や知識を、新型コロナに転用することは可能だ」と語る。[br] 高野教授によると、SARSは人における最初の致死性コロナウイルス感染症で、SARSが流行する前は人のコロナウイルスは一般的な風邪の原因で、研究者はほとんどいなかった。[br] 一方、日本では元々、マウスやネコ、ブタといった動物に感染するコロナウイルスの研究が盛んで、SARS流行時も複数の獣医師がワクチン研究に取り組んだ。しかし、ワクチンが完成する前に終息し、国内の研究も下火になったという。[br] 今回、グループの研究成果を基にワクチンの開発支援を担う高野教授。「ネコのワクチン開発も、あと一歩のところまで進んでいる。新型コロナの研究成果は、ネココロナウイルスの研究にも還元できるはずだ」と強調し、これまでコロナウイルスに向かい合ってきた研究者として、使命感を新たにしている。「コロナ制圧タスクフォース」のメンバーとして、新型コロナウイルスのワクチン開発に参加する髙野友美教授=10日、十和田市の北里大獣医学部