天鐘(6月11日)

「時の記念日」だった昨日、時間について、あれこれと思いを巡らしていたら、今年が「うるう年」だったことを思い出した。東京五輪がなくなったこともあって、すっかり忘れていた▼地球が太陽の周りをひと回りするのには365日と約6時間かかる。この6時間.....
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 「時の記念日」だった昨日、時間について、あれこれと思いを巡らしていたら、今年が「うるう年」だったことを思い出した。東京五輪がなくなったこともあって、すっかり忘れていた▼地球が太陽の周りをひと回りするのには365日と約6時間かかる。この6時間が4年分たまって、おまけの1日になる。サラリーマンには、ちょっぴり損をした気分の1年かもしれない▼「増える1日」があれば、「なくなる1日」もある。南洋の島国サモアの2011年には12月30日が存在しない。その年、自国の標準時を日付変更線の東側から西側へ変更。生じた時差の調整のため、12月29日の翌日を31日にした▼「世界で最も日付が変わるのが遅い国」は、逆に「最も早い国」の一つになった。豪州(ごうしゅう)など隣国との時間差をなくしてビジネスに役立てようということらしいが、なかなかの荒技である▼できることなら消してしまいたいと思うつらい日や悲しい日は、誰にも1日や2日はあろう。真っ先に浮かぶのは、あの「3・11」かもしれない。あの日さえなければ、日常の風景も随分と違っていたはずだ▼ふと、この際ならば…と、あらぬ方向へ空想が飛ぶ。1日と言わず、この1年、丸ごとなかったことにできまいか。仕事も生活も全てコロナにかき乱された。また初めから今年をやり直すことができたなら…一時の妄想を払って、マスクを着け直す。