天鐘(6月9日)

いよいよバラの季節の到来である。八戸公園のローズガーデンでは早咲きが今を盛りと咲き誇り、遅咲きも追い掛けるように咲き始める。彩りの競演は今週末が見頃だという。〈愁いつつ岡にのぼれば花いばら 与謝蕪村〉▼コロナ禍で桜とは疎遠に終わったが、バラ.....
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 いよいよバラの季節の到来である。八戸公園のローズガーデンでは早咲きが今を盛りと咲き誇り、遅咲きも追い掛けるように咲き始める。彩りの競演は今週末が見頃だという。〈愁いつつ岡にのぼれば花いばら 与謝蕪村〉▼コロナ禍で桜とは疎遠に終わったが、バラは自粛に耐えたご褒美のようだ。世界を代表する300種、千本のバラが萎縮した心と体を解放してくれる。彩りからは英気、香りからは癒やしをもらえる気がする▼栽培は難しそうだが、八戸ばら会の久保芳雄会長は「日当たり、風通し、水はけを基本に、剪定(せんてい)や施肥と手を掛けた分だけ応えてくれる」。早朝、優しく話し掛けると「お水をちょうだい」と会話も成立するとか▼ガーデンはプリンセス・ミチコやアイコ、ダイアナなど皇室、王室ゆかりのコーナー、アンドレとオスカルのベルサイユのばらコーナーが人気。初夏は華やかな彩り、秋は深く重厚な色彩を楽しませてくれる▼それにしてもバラにはなぜ棘(とげ)が? 久保会長は「奇麗だから…」と笑うがその通りらしい。芳香で奇麗だから近寄る動物を退け、他の植物に寄り掛かって高く枝を伸ばす際には“ピッケル”代わりにもなるらしい▼愁いを胸に岡に登ると、野バラが可憐な花を咲かせていた―叙情豊かな秀句は、蕪村59歳の作。バラの香気はコロナへの緊張や不安を癒やしてくれるが「3密回避」はお忘れなく―。