天鐘(6月2日)

今日は「裏切りの日」だという。裏切り行為が記念日になっているとは知らなかったが、1582年の今日は、天下統一目前の織田信長が重臣明智光秀の裏切りに遭って自害した「本能寺の変」が起きた日である▼NHK大河ドラマ『麒麟(きりん)がくる』は主人公.....
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 今日は「裏切りの日」だという。裏切り行為が記念日になっているとは知らなかったが、1582年の今日は、天下統一目前の織田信長が重臣明智光秀の裏切りに遭って自害した「本能寺の変」が起きた日である▼NHK大河ドラマ『麒麟(きりん)がくる』は主人公の光秀と主君信長に待ち受ける数奇な運命を描く。次回は大軍を率いて侵攻する今川義元を、信長が奇襲で討ち果たす前半の佳境「桶狭間(おけはざま)の戦い」が予定されている▼今は謀反や裏切りなど微塵(みじん)も感じさせない勇猛で爽やかな光秀だが、最後は1万3千の兵を率いて「敵は本能寺にあり」と信長を攻撃。小勢の信長は「是非に及ばず」と火を放ち、自刃に追いやられることになる▼11日後には備中から京に引き返した羽柴秀吉は山崎で討たれ、俗に言う“三日天下”に終わる。本能寺の変の動機を物語る決定的な史料はなく、謎は深まるばかりだ▼野望、怨恨(えんこん)、不安などによる「単独犯説」、光秀だけでなく、羽柴秀吉、足利義昭、毛利輝元、徳川家康らも関わった「黒幕複数説」、長宗我部(ちょうそかべ)元親らの「従犯存在説」など、ざっと50の原因説が挙げられている▼“推し説”を募っていた福知山光秀ミュージアムの原因説総選挙が開票され、「暴君討伐説」が1位に。光秀が非道の主君信長を討ったことになる。信長には背信でも光秀も生き残りを賭けた究極の選択だった。今に繋(つな)がる病根が滲(にじ)む。