金田一温泉再興事業 完成1年程度遅れる見通し/二戸

金田一温泉センターの建設地。旧センターの解体工事は完了している=5月上旬、二戸市
金田一温泉センターの建設地。旧センターの解体工事は完了している=5月上旬、二戸市
二戸市の金田一温泉郷の価値向上を目指し、市が民間事業者と進める金田一温泉周辺地区まち再生事業で、事業の核となる温泉センターの整備が遅れている。当初の計画では建設事業費が予算内に収まらないことが判明し、設計の見直しを余儀なくされていることが主.....
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 二戸市の金田一温泉郷の価値向上を目指し、市が民間事業者と進める金田一温泉周辺地区まち再生事業で、事業の核となる温泉センターの整備が遅れている。当初の計画では建設事業費が予算内に収まらないことが判明し、設計の見直しを余儀なくされていることが主な要因で、宿泊施設の部屋数を減らすなど規模縮小は不可避となっている。市などによると、完成時期は当初予定した2020年秋から1年程度延期となる見通し。[br] 同温泉周辺地区の公民連携事業は、老朽化が進んでいた市所有の温泉センターの建て替えに合わせ、隣接するプールや都市公園を一体的に再整備する計画。人口減少が進む中、温泉センターを民営化することで、公的な財政負担を最小限に抑えつつ、地域経済の好循環を生み出す狙いがある。[br] 旧温泉センターは昨年3月に閉館し、既に解体工事が完了しているものの、解体中に基礎くい撤去の追加工事が必要となって数カ月遅れた。さらに建設工事の業者選定の過程で、建設費とした約6億円を超えることが分かり、設計見直しを迫られた。[br] 工事発注など整備に取り組む特定目的会社「カダルエステート」(大清水吉典代表)によると、新センターは温泉と宿泊機能を備えた施設として、計54室を備える予定だったが、見直し案では計39室となる見込み。大清水代表は取材に「総工費を6億円としたが甘かった。現段階で具体的な完成時期は未定だが、大きく遅れてしまう」と述べる。[br] 新たな予算規模について関係者は現時点で具体的な金額を明らかにしておらず、設計の見直しによって、当初の予算内に収まるかは不透明な状況だ。 建設費は、市が2億円を出資し、4億円は同社が金融機関から融資を受けることを想定していた。事業費の増額が必要になった場合について、藤原淳市長は3月の市議会定例会で、「民間事業者が確保することが前提となるが、設計には市の意向も反映されており、内容を検証した上で負担調整を行いたい」とし追加支出の可能性も示唆する。[br] 旧温泉センターの年間利用者数は約10万人。市内のほか、岩手、青森両県の周辺市町村から来場しており、早期の完成を望む声は高まっている。[br] 大清水代表は「『現代の湯治場』というコンセプトや居心地の良い空間の提供という目標は変わらず、地元を始め金田一温泉に来る人に喜んでもらえる施設にするよう進める」と強調。[br] 藤原市長は取材に対し、「単に温泉センターの建て替えではなく、果樹畑など地域の宝を組み合わせて金田一温泉の価値を高めるのが目的。民間と一緒になって活性化に取り組んでいきたい」と述べる。金田一温泉センターの建設地。旧センターの解体工事は完了している=5月上旬、二戸市