天鐘(5月24日)

「対蹠(たいせき)地」と書けば難しいが、いわゆる「地球の裏側」である。足元から1万2千キロのトンネルを掘ると、どこにたどり着くのだろう。地面に向かって「ブラジルの人、聞こえますか?」と叫ぶギャグもあったけれど▼沖縄であれば彼の地に突き当たる.....
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 「対蹠(たいせき)地」と書けば難しいが、いわゆる「地球の裏側」である。足元から1万2千キロのトンネルを掘ると、どこにたどり着くのだろう。地面に向かって「ブラジルの人、聞こえますか?」と叫ぶギャグもあったけれど▼沖縄であれば彼の地に突き当たるらしいが、本州の対極は南米大陸から少し離れた大西洋。広い世界を見渡しても、ほとんどの陸地が海と対になっている。さすが宇宙に青い輝きを放つ「水の惑星」である▼地球上に生き物が存在するのは海のおかげ。一方、命の源は時に大きく牙をむく。破壊的な高波が地球を半周して日本列島を襲ったのは、ちょうど60年前。チリ地震津波は北奥羽地方にも甚大な被害をもたらした▼揺れは体感していない。未明から早朝にかけての津波。警報発令が到達後というから、まさに不意打ちだった。陸に打ち上げられた漁船が折り重なる。濁流が押し引きを繰り返し、あらゆるものをのみ込んだ▼避難する間がなかったからこそ証言が生々しい。遠地津波の怖さを学んで半世紀、チリで再び大地震が発生する。幸い日本は大きな被害を免れた。大津波警報に反して津波は小さかった。避難する人も少なかった▼1年後の東日本大震災。あの時の油断が事態をより深刻にしたとの指摘もある。このところ頻発する地震が気になる。加えて現下の感染症は数々の困難を強いる。常に確認すべきは気構えと備え。