天鐘(5月15日)

我々は過去の感染症から生き残った“幸運な人類”の子孫とか。一方の新型コロナウイルスは40億年も途絶える事なく続く“幸運な先祖”の末裔(まつえい)。この戦いは唯一の天敵同士による“頂上決戦”になるという▼放つ一手が互いの生存を脅かす。先月7日.....
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 我々は過去の感染症から生き残った“幸運な人類”の子孫とか。一方の新型コロナウイルスは40億年も途絶える事なく続く“幸運な先祖”の末裔(まつえい)。この戦いは唯一の天敵同士による“頂上決戦”になるという▼放つ一手が互いの生存を脅かす。先月7日発令の緊急事態宣言は彼らには致命的な一撃になったようだ。こちらの捨て身の“籠城作戦”に感染媒体を見失った彼らは上を下への大騒ぎ。最後は息も絶え絶えに▼暑さも加わり撤退寸前まで弱体化した。外出自粛による「人と人との接触削減」は敵が最も嫌がる戦術だが、兵糧が尽きては続かない。国は14日、大都市を残して39県の宣言を解除。経済活動の再開に踏み切った▼だが、敵は隙を見逃さない。韓国で勝利宣言したらクラスターが発生、独国では封鎖の緩和で感染が拡大。「敵も変異で常に系統を入れ替え、薬剤の耐性や毒性を強めている」(石弘之『感染症の世界史』)▼先読みの意思さえ感じる。変異後の秋冬を思えば背筋も凍るが、最近は感染死と経済的死の“二項対立”ではなく、“命も経済も守る出口”にも明かりが点き始めたとか▼大量のPCRや抗原検査が可能な体制を整備し、陰性者や抗体を得た人が前線に立って経済を守るという当たり前のプロジェクトだ。絶望的なPCR件数を逆手に取った戦略で、増やせまいと高を括(くく)る敵の裏をかけば雪崩を打つに違いない。