再処理工場「合格」/規制委、審査書案了承も21年度上期完工厳しく

再処理工場の審査書案を了承した原子力規制委員会の定例会合=13日、東京都内
再処理工場の審査書案を了承した原子力規制委員会の定例会合=13日、東京都内
原子力規制委員会は13日の定例会合で、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)が新規制基準に適合していると認める「審査書案」を了承した。原燃の審査申請から6年4カ月を経て、国策である核燃料サイクルの中核施設が審査に事実上合格した。原燃.....
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 原子力規制委員会は13日の定例会合で、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)が新規制基準に適合していると認める「審査書案」を了承した。原燃の審査申請から6年4カ月を経て、国策である核燃料サイクルの中核施設が審査に事実上合格した。原燃が2021年度上期を目指す工場完成の前提を一つクリアした格好だ。青森県内の原子力施設で審査書案がまとまったのは、隣接する原燃のウラン濃縮工場に続いて2例目となる。[br] 今後、規制委が意見公募(パブリックコメント)や経済産業相への意見聴取などを実施し、最短で夏ごろにも正式合格する見通し。原燃は緊急時対策所の整備といった安全対策工事に向けて詳細設計の認可(設工認)審査を受ける。一方で膨大な工事量のため、審査だけでも最低1年程度を要するとの声が規制委内部で上がっており、計画通りに工場が完成するかは不透明だ。[br] 原燃は14年1月に事業変更許可申請書を提出して審査を申し出た。規制委は通算113回の審査会合と5回の現地調査を行い、ハード面を中心とした設計基準と重大事故対策に加え、地震や津波、火山噴火などの自然災害対策という三つの観点から妥当性を確認してきた。[br] ただ、工場の設備点検漏れをはじめとする安全管理体制の問題を受けて17年には審査が半年間中断。議論が長期化する中で新たな論点が浮上したほか、原燃の審査書類にも記載漏れなどの不備が相次ぎ、原燃は最終的な補正申請書を4月28日に提出した。[br] 原燃は審査の中で、高レベル放射性廃液などが貯槽内で沸騰する事故時に放射性物質の放出を抑制する「凝縮器」や、竜巻対策の一環で冷却塔を新設すると説明してきた。これらの追加対策費には約7千億円を見込んでいる。 地震想定を巡っては、敷地に最も近い活断層「出戸西方断層」の長さを審査申請時の約10キロから約11キロに見直し、基準地震動(耐震設計の目安となる地震の揺れ)も600ガルから700ガルに引き上げた。[br] この日の会合で、審査の実務を担った原子力規制庁が審査書案を提示。事故対処の手順に関し、引き続き保安規定の審査で確認を行うよう求める意見が出たものの内容に異論は出ず、5人の委員が全会一致で了承した。[br] 工場は1993年に着工。当初は97年の完成予定だったが、トラブルや東日本大震災の影響で完成時期が計23回延期された。総事業費は13兆9400億円に上る見通し。再処理工場の審査書案を了承した原子力規制委員会の定例会合=13日、東京都内