再処理工場「合格」/プルサーマル導入進まず、再処理揺らぐ存在意義

資源に乏しい日本は、原発で一度使った核燃料からプルトニウムなどを取り出し、準国産のエネルギー資源として再利用する核燃料サイクル政策を推進してきた。日本原燃の使用済み核燃料再処理工場はその中核施設だ。だが、取り出したプルトニウムを軽水炉で消費.....
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 資源に乏しい日本は、原発で一度使った核燃料からプルトニウムなどを取り出し、準国産のエネルギー資源として再利用する核燃料サイクル政策を推進してきた。日本原燃の使用済み核燃料再処理工場はその中核施設だ。だが、取り出したプルトニウムを軽水炉で消費するプルサーマルは進んでおらず、再処理工場の存在意義は揺らいでいる。[br] 核燃サイクルはかつて発電しながら消費した以上に燃料を生み出せる高速増殖炉サイクルが本命だった。しかし、高速増殖原型炉「もんじゅ」の事故で開発が事実上頓挫し、軽水炉サイクルが取って代わった。今はそれが唯一の使い道だ。[br] だが、東京電力福島第1原発事故後、プルサーマルを導入する原発で再稼働できたのは4基のみ。電気事業連合会が年間最大約6・5トンの消費を見込んで設定した「16~18基」の目標には遠く及ばない。最大消費量が約1・1トンの大間原発(大間町)は建設がストップしたままで、運転開始時期が見通せない。[br] 核兵器に転用できる核分裂性プルトニウムの日本の国内外保有量は2018年末時点で約30・3トン。再処理工場がフル稼働すれば年間約4トン強を生み出せるが、保有量増加への国際的な懸念を踏まえ、国の原子力委員会は再処理工場のプルトニウム製造量を制限する方針を打ち出した。[br] 操業開始に向けて一歩前進した格好の再処理工場だが、消費も製造も思うようにならない現状が行く末に影を落としている。