再処理工場「合格」/設工認で規制委「1年かかる」/21年度上期完成目標の延期必至

審査に事実上合格した使用済み核燃料再処理工場だが、前途は多難だ=2017年10月、六ケ所村
審査に事実上合格した使用済み核燃料再処理工場だが、前途は多難だ=2017年10月、六ケ所村
原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査に事実上合格した使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)。日本原燃は今後実施する安全対策工事の期間短縮が可能として、2021年度上期に設定する再処理工場の完成目標を堅持している。ただ、対策工事の着手.....
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 原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査に事実上合格した使用済み核燃料再処理工場(六ケ所村)。日本原燃は今後実施する安全対策工事の期間短縮が可能として、2021年度上期に設定する再処理工場の完成目標を堅持している。ただ、対策工事の着手に必要な認可(設工認)の審査には「少なくとも1年は確実にかかる」(規制委関係者)とされ、完成時期の延期は避けられない状況だ。[br] 原燃が当初、半年程度と想定していた審査は開始から6年4カ月が経過。審査が進展する各原発と異なり、国内唯一の特殊な施設である点が審査期間に大きく影響した。設備未点検問題に端を発した半年間の審査中断など原燃の不手際も長期化の一因となった。[br] 今後、待ち受ける設工認の審査で原燃は申請を分割し、認可を得た工事から速やかに着手する考え。だが、先行きは極めて不透明だ。ある規制委関係者は「物量があるため、それなりの時間がかかる。原燃次第だ」と指摘する。[br] 工場完成の懸念材料はまだある。旧規制当局によって行われた使用前検査から10年以上がたっていることだ。増田尚宏社長は「ガラス固化以外の再処理工程は国による検査を終えている」との見解を示すが、経年によって設備に不具合が出ることはないか。念入りな確認作業が必要だ。[br] 本年度から運用が始まった原子力施設の新検査制度では事業者に検査義務を課す。使用前検査という形式はなくなったが、「使用前検査のようなトリガー(最終的な確認)は残す」(別の規制委関係者)という。[br] 規制委は旧体制の下で行われた検査結果も活用する方針だが、再処理のどの工程を確認対象とするかはまだ定かではない。規制委の判断が完工時期に影響する可能性もある。[br] 完工目標期限まで1年4カ月余り。既に時間的余裕はなく、原燃には延期の選択しか残されていない。審査に事実上合格した使用済み核燃料再処理工場だが、前途は多難だ=2017年10月、六ケ所村