使用済み核燃料再処理工場が原子力規制委員会の審査に事実上合格したことについて、青森県内自治体や地元・六ケ所村の関係者は「大きな前進」と歓迎の意向を示した。再処理工場完成に向けた対策工事や本格操業後の業務量増加などに伴う地域経済の活性化に期待する声も。一方、国内外の反核燃団体は13日、原子力規制委員会に抗議声明を共同提出し、「なぜ審査を急ぐのか」などと批判した。[br] 審査書案の取りまとめを受け、三村申吾知事は「事業許可変更(合格)へ向けた大きなステップだ」とするコメントを発表した。[br] 報道陣の取材に応じた六ケ所村の戸田衛村長は「世界で最も厳しい安全審査をクリアした。6年4カ月余りの長いトンネルの出口が見えてきた」と歓迎し、原燃が実施する安全対策工事などが着実に行われるかを注視する考えを示した。[br] 原子力施設が立地する下北半島の4市町村長懇談会の事務局を務めるむつ市の宮下宗一郎市長は「安全第一で早期に操業が開始され、青森経済復旧の端緒となることに期待する」との談話を出した。[br] 地元からも操業による経済効果を望む声が多数上がる。村議会の髙橋文雄議長は「これまで安全のためにかけた時間を無駄にせず、速やかに操業に向かってほしい」。村商工会の種市治雄会長は「合格はまだ通過点にすぎない。原燃にはしっかり頑張ってほしい」と語った。[br] 一方で、反核燃団体は反発を強める。核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団の山田清彦事務局長は取材に「新型コロナウイルスの影響で傍聴ができない中で、なぜ了承しなければならないのか」と規制委の対応を批判。さらに、審査が長引く要因となった原燃側の品質保証体制の甘さなどを挙げ、「これまで不手際を繰り返してきた原燃に事業を進めさせるべきではない」と指摘した。