八戸みなと漁協が市場部を八戸魚市場に統合

八戸みなと漁協の競り=4月下旬、八戸市第3魚市場
八戸みなと漁協の競り=4月下旬、八戸市第3魚市場
八戸港で水揚げ卸を担う、株式会社八戸魚市場(川村嘉朗社長)と八戸みなと漁協(岡沼明見組合長)が、卸売部門の一本化に向け合意したことが12日、関係者への取材で分かった。漁協が市場部を廃止し、同社が一部の人員などを吸収、盛漁期前の6月中に新体制.....
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 八戸港で水揚げ卸を担う、株式会社八戸魚市場(川村嘉朗社長)と八戸みなと漁協(岡沼明見組合長)が、卸売部門の一本化に向け合意したことが12日、関係者への取材で分かった。漁協が市場部を廃止し、同社が一部の人員などを吸収、盛漁期前の6月中に新体制を整える方針だ。卸から撤退した漁協は共済や指導、直売施設の運営などに注力する。46年間に及ぶ複数市場体制は終焉する。[br] 両者の代表がこの日、市庁を訪ね市場開設者の小林眞市長に報告した。関係者によると、統合は数カ月前に漁協側から同社側へ打診があり、水面下で交渉を続けた。同港の水揚げが68年ぶりに7万トンを割るなど環境が厳しさを増す中、卸部門の統合で効率化を図る方向で折り合いが付いた。[br] 八戸みなと漁協は2003年、旧八戸漁連の経営破綻に伴い設立された。出資金2454万円。従業員43人。18年度決算では当期損失4969万円と8期ぶりの赤字を計上した。スルメイカ不漁などを背景に事業損失は7652万円に膨らみ、助成金など事業外収入を加えても赤字分を補い切れなかった。[br] 事業総取扱高56億9100円のうち、卸売事業は50億770万円と大半を占める。ただ、同事業の収入1億8688万円に対し支出2億2336万円で、3648万円の赤字だった。[br] 同港では小中野地区の旧市第2魚市場跡地に市魚市場D棟が建設中で、来年1月5日に供用開始の予定。スタートすれば漁協側にとって運営経費はさらにかさむとみられていた。D棟は2者による運営を前提に設計されており、今後は仕様変更の必要が生じる可能性もある。[br] 漁協の主要事業を手放すことについて、岡沼組合長は取材に「年々水揚げが減り続け回復が見込めない中、経費を考えると廃止した方が得策と判断した」と話した。今後は直売施設「浜市場・みなとっと」や漁船ドックの運営をはじめ、共済、購買、指導といった事業に注力する。[br] また、青森県内の漁協再編では、2021年3月末までに「青森県太平洋南部漁業協同組合」の名称で八戸鮫浦、八戸市南浜、階上、百石町の各漁協と合併する計画で、協議は継続する意向だ。[br] 廃止は漁協職員にも通知済み。人員については、漁協市場部の19人のうち、同社が7、8人の受け入れを予定。残りは調整中だが、漁協内の他部署への異動や水産関連会社への転職、高齢に伴う退職など、行き先のめどはほぼ付いているという。[br] 「八戸魚市場五十年史」によると、魚市場運営では1933年に同社が事業をスタート。73年から旧漁連も卸売事業に参画し、破綻後は八戸みなと漁協が事業を引き継いだ。[br] 一本化について、岡沼組合長は「(事業廃止は)新型コロナウイルスの影響ではなく、水揚げ減という構造的な問題」と説明。受け皿となる八戸魚市場の川村社長は取材に「しっかりと体制を整え、盛漁期を迎えたい」と話した。八戸みなと漁協の競り=4月下旬、八戸市第3魚市場