新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、休館を余儀なくされた全国の博物館・美術館で、オンラインを活用した情報発信が進んでいる。演劇、囲碁・将棋などの文化活動でも、1カ所に集まらずに作品を作ったり、対局をしたりする取り組みが出始めた。[br] 緊急事態宣言は延長されたが感染者が比較的少ない青森、岩手両県では徐々に規制が緩和されていく見通し。だが、緊急時の対応はもちろん、遠方の人々への文化の発信といった観点からも、オンラインの活用は今後も拡充させていくべきだろう。[br] 八戸市内では、市美術館建設推進室が自宅で市所蔵の絵画作品を鑑賞したり、塗り絵などの図工を楽しめたりできるページを開設した。市博物館や街かどミュージアムは、会員制交流サイト(SNS)で所蔵資料の写真に簡単な解説を加えて発信。同様の取り組みは「エア博物館」「エア美術館」と呼ばれ、インターネット上で広がりを見せている。[br] 演劇では、十和田市出身の演出家中屋敷法仁さんが、動画投稿サイト・ユーチューブで、主宰する劇団「柿喰う客」の過去作品を無料公開。「オンライン演劇部」と称した演劇講座も展開する。キャストがそれぞれの自宅で同時に演技をした作品を公開、コロナ禍での表現の可能性を模索する動きもある。[br] 公民館などの公開講座が開催できていない現状を踏まえ、三沢市の市民団体「Misawaアートプロジェクト」は大型連休中に、ビデオ会議アプリを使って教育や文化活動の講座を生配信する企画を実施した。オンライン飲み会などでも使われる会議アプリが持つ双方向交流の特性は、さまざまな分野で生かせそうだ。[br] 囲碁・将棋は北奥羽でも大会が開かれず、オンライン対局が増えている。その結果、津軽地方と南部地方の有力者による団体戦や海外の愛好家との対局という、従来では考えられなかった副産物も生まれた。[br] 7月31日~8月6日に高知県で開催予定の全国高校総合文化祭は、近く開催の可否が判断される見通しだ。来年度末に閉校を控え最後の挑戦となる青森県立田子高の郷土芸能部が出場を決めているほか、将棋では昨年準5だった八戸高3年の生平大悟さんに優勝の期待が懸かる。全国高校総合体育大会が中止された兼ね合いもあり、先行きは不透明。だが、開閉会式は難しいとしても、オンラインを活用した発表や対局という選択肢も検討に値する。