時評(4月25日)

新型コロナウイルスの感染が都市部だけでなく全国の地域で拡大している。このウイルスとの闘いは長期化するだろう。今、緊急事態にあることを自覚しつつ、この国が災害大国であることも忘れずにいたい。 間もなく台風、豪雨の季節がやってくる。大きな地震が.....
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 新型コロナウイルスの感染が都市部だけでなく全国の地域で拡大している。このウイルスとの闘いは長期化するだろう。今、緊急事態にあることを自覚しつつ、この国が災害大国であることも忘れずにいたい。[br] 間もなく台風、豪雨の季節がやってくる。大きな地震がいつ起きてもおかしくない。コロナ禍の中で大災害が起きたらどうするか。起きないことを祈るばかりだが、避難のあり方など、命を守るためのさまざまな備えが必要だ。国、自治体、個人とあらゆるレベルで危機管理を徹底したい。[br] 気象の研究者は、日本近海の海水温度は高い傾向が続き、今年も強大な台風に襲われる可能性があると指摘。地球温暖化がもたらす「気候危機」がこの夏、また顕在化する恐れがある。[br] 日本には2千以上の活断層があり、いつでもどこでも大きな地震が起こり得る。南海トラフ巨大地震や首都直下地震も強く懸念される。 今、真っ先に点検、整備しなければならないのは避難所だ。避難中に感染しないために密閉、密集、密接の「3密」を極力回避しなければならない。[br] 内閣府は2016年に感染症対策も盛り込んだ避難所運営ガイドラインを作成しているが、インフルエンザなどを想定した内容で、3密対策としては不十分だった。このため、今月初めに被災者の密集を避けることを目的に、より多くの避難所を開設することなどを柱とした通知を全国の自治体に出している。[br] 多くの自治体は新型コロナ対策で繁忙を極めている。それでも何とか地域の実情に合った安全な避難のあり方を策定してほしい。利用できる公共施設、宿泊施設を事前に確保することを検討すべきだ。避難所は作ったがマスクや消毒液がないといった事態も避けなければならない。[br] 被災者が感染を恐れ避難をためらうことがあってはならない。自治体は確実に避難指示が伝わる方法を確認してほしい。[br] 医療施設に入院中の患者を安全に避難誘導する方法もあらかじめ決めておく必要がある。[br] 個人レベルの備えも確認しておきたい。避難経路や非常食、乾電池などを確保し、地震対策として家具の転倒防止策もしておきたい。減災のためにできることは多い。[br] 東日本大震災、熊本地震、西日本豪雨、そして昨年夏の台風19号…。外出自粛のこの時期にあっても以前の大きな自然災害を思い起こしたい。事前にできることを怠った「人災」は絶対に避けなければならない。