全国的に新型コロナウイルス感染者の増加が続く中、青森県内の大学など高等教育機関で、講義や授業の開始日程を巡り対応が分かれている。国の緊急事態宣言が発令されている7都府県などから転居し、2週間の自宅待機を必要とする学生が多く在籍する教育機関は、従来の日程を先送りせざるを得ない状況に。講義の開始を遅らせた大学の関係者は「補講をどのように実施するか、さまざまなスケジュールを検討する必要がある」と頭を悩ませる。[br] 獣医学部の2年次以上の学生が通う北里大十和田キャンパス。体調管理の徹底や学生間の距離を設けるなど6日に講義を開始したが、同宣言の発令を受け、8日以降は在宅学習に切り替えた。[br] 米国が日本への渡航中止を勧告していることを踏まえ、髙井伸二学部長は「1年次の相模原キャンパス(相模原市)から来た学生らは海外渡航歴がある人と同じく、転居してから2週間は自宅にいる必要があった」と説明する。[br] 15日の講義再開を目指していたが、十和田市内でクラスター(感染者集団)が発生したことを受け再検討。学生の密集を避けるため、20日から一つの講義を午前と午後に分けて実施し、27日から通常の態勢に戻す予定だ。[br] 県内唯一の国立大で、医学部をはじめ県外からの学生が多く在籍する弘前大は、当初は9日だった講義開始日を23日に延期。八戸工業大は学生の密集を避けることが難しかったとして、開始予定日の8日は新入生のガイダンスのみ行い、講義は14日から始めた。[br] 一方、県営農大学校(七戸町)は10日から予定通りに授業を開始した。小笠原理高教頭は「(現時点で)感染が学内で起こっているわけではない」と理由を説明。その上で、▽複数の学年が合同で行う授業は教室ではなく体育館で実施▽定期的に机や椅子をアルコール消毒する―といった対策を徹底している。[br] 8日から授業をスタートした県立保健大(青森市)は、医師らを含む学内の対策本部で対応を決めた。教務学生課の長内俊幸課長は「(県内の)感染者が増加するなどの状況を見て、今後の対応を判断していきたい」と述べた。[br] 八戸学院大は7日からの講義開始を14日に延期した後、さらに5月11日に先送りした。同大の担当者は「補講や年間スケジュールを再考しなければならない」と対応の難しさをにじませる。