新型コロナウイルス対策として安倍晋三首相が7都府県を対象とした緊急事態宣言を発出して1週間が経過した。[br] 政府は7都府県での人と人との接触を7~8割減らすことを目標とするが、西村康稔経済再生担当相は12日のNHK番組で現実には6~7割にとどまっていると懸念を表明。さらなる感染拡大や医療崩壊を阻止するため、政府の取り組みが求められている。[br] 宣言の根拠となった新型コロナウイルスの感染拡大に備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)などに問題点があるとすれば早急に見直し、さらなる改正も検討する余地はある。[br] また、宣言の対象とするべき地域、休業要請に対する補償の問題など感染拡大阻止につながる方策を巡っても見直しが必要ではないか。[br] 企業や店舗の休業では、宣言直後の要請を目指した東京都と、経済への打撃を懸念し宣言から2週間程度を置いた上で対象も最小限にとどめたいとしていた国の調整が難航。都と埼玉、神奈川両県の要請発表は10日にずれこんだ。[br] 特措法は、45条で緊急事態宣言後の限定的な施設に対する休業要請などを規定しているが、24条では宣言の有無にかかわらず、知事の権限で個人や団体に必要な協力を要請できるとしており、この両条文の併存が混乱を招いたとの指摘がある。[br] 都は休業要請に応じた事業者には「感染拡大防止協力金」を支払うとしているが、財政力の弱い多くの自治体にとって補償は困難。仕事を得るために宣言対象地域から転出する事例などもみられる。[br] 全国知事会は休業やイベント自粛の要請に応じた企業などへの損失補償を国に求める緊急提言をまとめており、自治体に交付される臨時交付金の補償への充当の承認を明確にするなど早急な国の決断が求められる。[br] 今回、緊急事態宣言の対象となったのは7都府県だが、愛知県、京都府も指定を求め、愛知、岐阜、三重の東海3県は独自に緊急事態を宣言するなど国と地方との調整不足が露呈した。[br] 政府は11日、宣言対象外の40道府県に対し、繁華街の接客を伴う飲食店への外出自粛要請を強く促すよう対処方針を改定したが、対象地域そのものの拡大の必要はないのか。国と地方の緊密な情報交換が必要だ。[br] 事態は刻々と動いている。国民の安心安全の確保に向け政府そして与野党にはタイミングを逃さない臨機応変な対処が求められる。