天鐘(4月14日)

わが身を守るためとはいえ、自粛、自粛の毎日には正直、気もめいる。いつ抜け出せるか分からぬコロナの長いトンネル。この先どうなるものかと、夜空を見上げることが多くなった▼先週は帰りの車の中で「スーパームーン」に癒やされた。東の地平に浮かぶ巨大な.....
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 わが身を守るためとはいえ、自粛、自粛の毎日には正直、気もめいる。いつ抜け出せるか分からぬコロナの長いトンネル。この先どうなるものかと、夜空を見上げることが多くなった▼先週は帰りの車の中で「スーパームーン」に癒やされた。東の地平に浮かぶ巨大な満月。月の楕円だえん軌道が生む神秘の天体ショーである。沈む街を優しく照らす、いつもの何割増しかの月明かりがうれしかった▼この時季、夜の天空をながめれば、幾つもの春の星座が散らばる。蟹かに座、乙女座、獅子座、小熊座…。にぎやかな冬のそれに比べれば少々おとなしめの瞬またたきだが、柔らかな季節の到来を闇の中で告げている▼当方、占いの12個ぐらいしか馴染なじみはないが、頭上には計88もの輝きがある。その起源をたどれば約5千年前のメソポタミア。夜空を見上げた羊飼いが、きらめく星々を結んで動物や人物を描いたとされる▼あれと、あれと、あれをつなげば、こんな形に―。無数の天体の中に、いにしえの人は「命」を見た。その偉大なる想像力に思いをはせながら、まだ肌寒い夜のベランダで悠久のロマンに浸ってみる▼遥かなる距離にあり、互いに手を握ってその形を成す星座。感染症の不安の中で見上げれば、どこか「ソーシャルディスタンス」の教えである。疫病、戦争、天変地異…。幾多の地球の困難を見てきた星たちが、今また人類の闘いを静かに見守る。