青森県内で13例目となる新型コロナウイルスの感染者は、十和田市の認知症高齢者グループホームに入所する80代の女性だった。重症化のリスクが特に高いとされる高齢者施設での感染は、県南地方の介護事業者や利用者、その家族らに大きな衝撃を与えている。現時点で感染経路が判明していないことにも不安が募る。面会制限の強化や職員の体調管理の徹底、安全な介護サービスの提供など、感染防止に向けて今まで以上に緊張感を高めている。[br] 同市の介護施設で働く男性職員は、市内での感染確認にショックを隠せない様子。「体が弱く、熱が出やすい入所者もいるため、感染かどうか見極めが難しい。外来者との接触を厳しくシャットアウトするしかない」と警戒心を強める。[br] 五戸町の特別養護老人ホーム(特養)では、十和田市での感染者確認を受け、新規のショートステイ受け入れを当面中止することにした。施設長の女性は「ついに介護施設にも来てしまったかという印象。苦渋の決断だが、利用者を守ることが先決」とため息交じりに話した。[br] 八戸市の特養で施設長を務める男性職員は「外部からウイルスが持ち込まれないように改めて職員の体調管理を徹底する」と気を引き締める。感染経路が不明な状況に神経をとがらせており、「施設内の感染対策をするためにも、できる限り必要な情報は示してほしい」と行政側に迅速な情報提供を求めた。[br] 高齢者施設での感染確認は、施設利用者や家族にも不安を広げている。 「恐れていたことが起きてしまった」と話すのは同市内の高齢者施設に入居している女性(72)。高齢者にとっては命の危険もあるため、おびえながら過ごしているという。「高齢者施設では厳重に対策をしているはずなのに、どこからウイルスが入り込んだのだろう。もう確実に安全な場所はないのかもしれない」と気にかけていた。[br] 同市内の特養に祖母が入居しているという30代男性会社員は「介護施設では感染予防を徹底しているはずだが、それでも感染が確認されたことは怖い。祖母は高齢で体力も弱っているためとても心配」と不安げな様子。[br] ひとたび施設内で感染者が出たら、入居者やスタッフら多くの人に広がる可能性を指摘し、「家族も感染に気を付けなければ」と予防への意識を強くしていた。