時評(4月5日)

八戸圏域連携中枢都市圏が主体となり、八戸市立市民病院を拠点に運用するドクターカーが、運用開始から10年を迎えた。 出動件数は累計1万2千件を超え、多くの命を救ってきた。今後もスムーズに運用されるよう、病院と消防の連携を深化させてほしい。さら.....
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 八戸圏域連携中枢都市圏が主体となり、八戸市立市民病院を拠点に運用するドクターカーが、運用開始から10年を迎えた。[br] 出動件数は累計1万2千件を超え、多くの命を救ってきた。今後もスムーズに運用されるよう、病院と消防の連携を深化させてほしい。さらには地域住民も「命のリレー」を支える意識を持ちたい。[br] ドクターカーは高い機動力が特長。悪天候時や夜間は飛べないドクターヘリを補完する役割も担う。予測救命率50%以下の重症患者が助かった「劇的救命」は、これまで200件近くに上り、圏域の救命率向上に大きく貢献している。[br] 脳梗塞や心臓疾患の救急搬送のほか、交通事故などにも対応。出動要請を受けて医師や看護師が搭乗し、患者を乗せた救急車と合流する。[br] 患者の容体は刻々と変化する。一分一秒を争う救命救急にあって、病院に到着する前に医療行為を開始できるドクターカーの存在は大きい。[br] 救命率を上げるために重要なのが、患者を乗せた救急車と医師が接触する「ランデブーポイント」の確保だ。多ければ多いほど、速やかに処置を施すことが可能になる。[br] 協力店は店頭にステッカーを貼り、市民に“中継基地”であることを知らせている。現在は大手コンビニエンスストアなどが中心で、緊急時に駐車場を提供している。命をつなぐ支援の輪を、さらに幅広い業種へ広げたい。[br] 環境整備と併せて、効果的な運用の在り方を常にチェックする姿勢も必要だろう。緊急度に応じた的確な判断の共有、現場を指揮する医師の資質向上、事後検証の徹底など、課題は少なくない。[br] 年間を通して医師が緊急出動できる態勢を確保できなければ、ドクターカーを運用することはできない。地方の多くが医師不足に苦しむ中、市民病院は先進的な取り組みで地域医療に貢献してきた。[br] 病院関係者によると、ドクターヘリの運航も含め、八戸の救命救急の現場は若手医師の憧れになっているという。勤務を希望する医師が全国から集まってくる。その求心力が医療の充実につながり、結果として住民の命を救っていることを再認識すべきだ。[br] 運用から10年を経てドクターカーの認知度は高まったが、走行時の安全性には改善の余地があるという。対向車線であっても速やかに道を譲るなど、ドライバーの心掛けも改めたい。