青森県は台風や集中豪雨による農作物被害を軽減するため、水はけが悪いほ場への排水改良方法をまとめた手引きを作成した。ナガイモやニンニクなど高収益作物を生産する小規模農家が主な対象で、排水処理設備を導入したほ場の写真や施工費用を紹介。県はホームページで内容を公開しており、「手引きを活用することで、農業者の所得向上の一助にしたい」とPRする。[br] 県によると、台風などで大量の雨水がほ場にたまることで、農作物の生育障害を誘引する「湿害」が発生する。養分が行き届かず作物の形がいびつになったり、根が腐りやすくなることで枯死したりする場合もあるという。[br] 大型台風が襲った2016年は県南地方でナガイモやゴボウを中心に多くの農作物が湿害を受けた。県がまとめた16年度の大型台風による農作物被害の内訳を見ると、ナガイモの損害は20億5601万円に上った。[br] ほ場の排水対策の強化に向け、県は13年度、東北町のほ場で雨水を排水する暗渠(あんきょ)管を活用したナガイモの栽培試験を実施。暗渠管を通したほ場と暗渠管を使っていないほ場で比較したところ、暗渠管を通したほ場で収穫したナガイモ30本のうち、湿害を受けたのはわずか1本。一方、管を通さなかったほ場のナガイモは30本のうち6本。排水改良による一定の効果が見られたという。[br] 手引きは、排水改良に有効な施工方法14種類を紹介。ナガイモなど根菜に有効な「浸透式排水処理施設」(浸透施設)は、ほ場にたまった雨水を地中の暗渠管を通じて浸透施設へ送り、地下の透水層へ排水する仕組み。同施設を設置するためには、事前にボーリング調査を行い、透水層の確認が必要。施工費は、ほ場1カ所につき160万円(暗渠管の設置とボーリング調査費を除く)。施工期間は3カ月程度。[br] 県農村生産基盤整備グループマネージャーの蝦名継緒総括主任は「施設の準備には一定のコストがかかるが、農作物被害を減らす上で長く役に立つ。ぜひ手引きを手に取ってほしい」と話している。[br] 手引きや排水改良の導入に関する問い合わせは、県農村整備課生産基盤整備グループ=電話017(734)9554=へ。