幅広い年代から愛され、お笑い界の最前線を走り続けたタレントの志村けんさん。30日午前に届いた突然の訃報は、瞬く間に列島を駆け巡り、深い悲しみが広がった。過去に青森、岩手両県にもテレビの収録や「ザ・ドリフターズ」時代の地方公演などで来訪し、そのユーモアで優しい人柄が、多くの人の心に刻まれている。県民からは「ショックだ」「悲しすぎる」と悲痛な叫びとともに「いつも子どもたちの味方だった」「ずっと忘れない」と別れを惜しむ声が上がった。一方、感染が広がる新型コロナウイルスによる肺炎が死因であることから、多くの市民らが改めて感染予防への思いを強くした。[br] 志村さんは、2014年2月にテレビ番組の収録で三戸、田子両町を訪れ、多くの人たちと交流。三戸の和菓子店「きんか堂」の相内禎治さん(61)は「心配していたが、亡くなったと知り、とてもショック」と絶句。「オーラはあるけど、腰は低い人。親しみやすく、テレビで見るままだった」と懐かしんだ。[br] 志村さんはニンニク好きを公言しており、今月放送されたテレビ番組では、田子町ガーリックセンターの商品を紹介。町にんにく国際交流協会の佐藤恵子総務課長は「元気になったころに、お礼としてにんにくラーメンを贈ろうとスタッフの間で話していた。最近までテレビで元気な姿を見ていただけに信じられない」と悲しんだ。[br] 三陸鉄道では、東日本大震災からの復興に向けた取り組みとして、2013年4月に、吉浜駅(大船渡市)の非常勤駅長を志村さんに依頼。中村一郎社長は「もうあの笑顔にお会いできないのかと思うと、悲しくてならない」とのコメントを出した。[br] ドリフターズ時代の思い出を語る人も。約40年前に十和田市内で行われた公演を見に行ったという同市の吉田廣樹さん(53)は当時、加藤茶さんのファンだったが、舞台で大きな笑いを生み出す志村さんを見て一気にとりこに。リーダーいかりや長介さんをからかう姿に、「親にはしょっちゅうまねをするな、とくぎを刺されていたが、子どもたちの味方だった」と振り返った。[br] 一方、著名人の死去に、新型ウイルスへの警戒心を強める声も。志村さんの来訪を受けた三戸町の「小山田煎餅店」の小山田美穂(よしお)さん(74)は「誰もが知る有名人が亡くなり、多くの人が改めてその恐ろしさを実感したのでないか」と話す。[br] かつて営んでいた酒屋に志村さんが突然訪れて以来のファンだという八戸市高館の田名部眞紀子さん(71)は「志村さんの死を絶対に忘れない。この悲しみをきっかけに、多くの人がウイルスに対してしっかりと考えるようにした方がいい」と気を引き締めた。