時評(3月28日)

一般会計総額が102兆6580億円と過去最大の2020年度予算が成立した。今国会は一つの節目を越えたが新型コロナウイルスとの戦いはこれからが本番だ。脅威克服には、前例のない規模の補正予算を組む必要がある。 感染の拡大により国民の生命と健康、.....
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 一般会計総額が102兆6580億円と過去最大の2020年度予算が成立した。今国会は一つの節目を越えたが新型コロナウイルスとの戦いはこれからが本番だ。脅威克服には、前例のない規模の補正予算を組む必要がある。[br] 感染の拡大により国民の生命と健康、生活が直面している危機を乗り越えるために、国会が国権の最高機関として真価を発揮すべき時だろう。[br] 1995年の阪神大震災、97年の金融危機、2011年の東日本大震災などの非常時には、与野党が協力して危機対応に当たった実績がある。今回も与野党が力を合わせて対処すべきは当然だ。[br] 成立した予算には、新型コロナ対策経費が計上されていない。政府、与党は当面、5千億円の予備費を使い、4月に取りまとめる緊急経済対策に伴う補正予算案の編成を急ぎ、4月中の成立を目指す。[br] 野党各党も補正の早期成立に協力する構えだ。野党が設置を求めた政府と与野党との連絡協議会も既に開催された。野党の提案を対策に十分に反映させることが肝要である。[br] 3月の政府月例経済報告は、国内景気は「厳しい状況」との認識に転じた。本予算編成時の経済見通しが大幅に悪化した以上、予算を組み直すぐらいの大胆な対応が求められる。[br] まずは国民の痛みを和らげるため、現金給付や中小企業への資金繰り支援など緊急性の高い施策を速やかに実行し、次に消費拡大へ思い切った景気対策を実行する手順が適切だろう。[br] 日本経済に重大な影響を与える東京五輪・パラリンピックの1年程度の延期決定と、新型コロナウイルス特措法に基づく政府対策本部の設置に関し、国会は4月2日の衆院本会議で安倍晋三首相の報告と質疑を行う。[br] 「緊急事態宣言」の発令には、同法の付帯決議に盛り込まれた国会への事前報告が必要だ。安倍首相には国会の場を通じて国民に丁寧に説明し、理解と協力を求める姿勢を期待したい。[br] 予算審議では「桜を見る会」や東京高検検事長の定年延長を巡る質疑は中途半端に終わった。森友学園を巡る公文書改ざんに関し、自殺した財務省近畿財務局職員の手記が公表されたが、安倍首相は再調査を拒否した。[br] 新型コロナに打ち勝つためには、国民の協力が欠かせない。その前提となるのは、政府に対する国民の信頼だろう。安倍首相は疑念や不信を晴らすため、誠実で丁寧な対応に努めるべきだ。野党は行政監視の手を緩めてはならない。