ドクターカー運用10年 八戸圏域の救命率向上に貢献

八戸圏域のドクターカーは、地域の救命率向上に大きく貢献している=2月下旬、八戸市立市民病院
八戸圏域のドクターカーは、地域の救命率向上に大きく貢献している=2月下旬、八戸市立市民病院
八戸市立市民病院(今明秀院長)を拠点に活動するドクターカーが運用開始から10周年を迎える。天候に影響されず、夜間走行にも対応できる高い機動性が特徴で、2010年3月の運用開始以来、出動件数は累計1万件を超える。予測救命率50%以下の患者が助.....
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 八戸市立市民病院(今明秀院長)を拠点に活動するドクターカーが運用開始から10周年を迎える。天候に影響されず、夜間走行にも対応できる高い機動性が特徴で、2010年3月の運用開始以来、出動件数は累計1万件を超える。予測救命率50%以下の患者が助かった「劇的救命」も200件近くに上り、八戸圏域の救命率向上に大きく貢献している。一方、救命率を上げるために重要なのが、患者を乗せた救急車とドクターカーの医師が接触する「ランデブーポイント」の確保だ。近年、運用への理解が進み、地元のコンビニエンスストアが場所を提供するなど地域の支援が大きな力となっている。[br] 出動要請を受けたドクターカーは、目印となる「ランデブーポイント」に向かい、患者を乗せた救急車と接触。その場で診療し、必要に応じて出動先で手術ができる「ドクターカーV3」を要請することもある。[br] 安全に停車でき、さらに目印になる場所が必要となるため、同病院では、多くの地域にある、さまざまな大手コンビニに協力を依頼。協力店は店頭にステッカー張り、いざという時は駐車場を提供するなどして対応する。[br] セブン―イレブン・ジャパン八戸地区の阿部勇生ディストリクトマネジャーによると、八戸市や三沢市、十和田市とその近郊のセブン―イレブンの店舗にステッカーを張り、協力体制を整えている。「地域が抱える社会の課題解決に役立てるのはありがたいこと。協力できることは前向きに検討していきたい」と力を込める。[br] 八戸圏域の住民にとって、今ではなじみのあるドクターカーだが、運用開始当初は市民の理解を得るのに苦労もあった。今院長は「救急車よりも小型なため、緊急走行中も周囲の車に気付かれず、道を譲ってもらいづらかった」と振り返る。[br] 一方、ドクターカー導入により、脳卒中など一刻を争う患者にも積極的かつ迅速な治療ができるようになり、救命率の向上はもちろん、社会復帰をする患者も増えた。さらに若手医師の臨床の場が増え、救命救急医の育成の場にもなっている。[br] 地元住民の意識もこの10年で変わった。今院長は「ドクターカーが走る八戸の街に誇りを持ってくれる人が増えた」といい、中高生ら若い世代が医療の世界に目を向けるきっかけになっていると実感している。[br] ドクターカーの将来像として「インターネットや医療機器が進化していく中で、いち早く先進技術の医療を提供できる仕組みにしたい」と強調。同病院救命救急センターの野田頭達也所長も「地域の理解が深まっている。これからもドクターカーが走り続けられる街であってほしい」と話す。[br] 医師や看護師が病院の外へ出て患者のもとへ駆け付ける「新しい医療」の充実に向け、今後も熱い視線が注がれる。八戸圏域のドクターカーは、地域の救命率向上に大きく貢献している=2月下旬、八戸市立市民病院