時評(3月17日)

中国の武漢から始まった新型コロナウイルスは3カ月で各国に到達、流行の中心は欧州に移り、世界保健機関(WHO)はパンデミック(世界的大流行)と表明した。トランプ米大統領も国家非常事態を宣言した。ワクチンや治療薬の開発は急務だ。国際協調で人類の.....
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 中国の武漢から始まった新型コロナウイルスは3カ月で各国に到達、流行の中心は欧州に移り、世界保健機関(WHO)はパンデミック(世界的大流行)と表明した。トランプ米大統領も国家非常事態を宣言した。ワクチンや治療薬の開発は急務だ。国際協調で人類の難敵に向き合いたい。[br] 医学の進歩で感染症が克服されたとみられた1970年代から30以上の新興感染症が現れた。新型コロナは2009年の新型インフルエンザより影響は大きい。約40年前に出現して死者が計3500万人を超えたとされるエイズに次ぐ衝撃で、世界史に残る危機だ。[br] 封鎖をすれば拡大は防げる。しかし人の移動を制限するばかりでは経済が疲弊する。流行抑制と生活維持、パニック回避、人権尊重の目的の間でバランスを取るかじ取りが欠かせない。[br] 新興感染症は人の集団免疫がないため広がりやすいが、病原体ごとに感染様式や対策は違う。飛沫(ひまつ)や接触で感染する新型コロナの場合、換気の悪い密閉空間や人の密集、近距離での会話が危険要因で、この3条件を避けるのが予防の基本となる。[br] 人々の行動を変えて社会の予防力を上げ、高齢者らの重症肺炎に医療を尽くす時だ。水際対策は初期に意味があるが、流行が世界に広がった今、入国制限の効果は限られる。新型コロナは身近に存在する。手洗いや消毒などの徹底、検査や治療の充実に重点を移したい。[br] イベント中止や外出抑制が国内で流行を遅らせた可能性はある。しかし感染者が最近も増加傾向で、早期終息は見通せない。把握される感染者数も氷山の一角だ。欧米のように爆発的拡大は起きていないが、感染経路不明に加え、欧州からの帰国者に感染が相次いでいる。[br] 出口戦略はやはり必要で、休校やイベント自粛、入国制限をいつどう緩めるかは問われる。感染者が少ない一部地域で学校の再開が始まった。状況に応じ柔軟な対応が望ましい。[br] 院内感染の防止は鍵を握る。北海道や愛知県、近畿では集団感染の連鎖がたどれており、抑制できる余地はある。一方で感染急増に備え、医療を崩壊させずに重症者を救う態勢を整えておきたい。[br] 中国で流行が収まりつつあるのは専制的強権と個人管理徹底が奏功したからだ。しかし民主的な国でこうはいかない。データでは感染者の8割はうつさない。軽症者は自宅療養でよい。無症状の人もいる。強硬策だけでなく、ソフトな有効策も活用すべきだ。