天鐘(3月14日)

薄紅色の皮で餡を包んだ関東風も、道明寺粉を蒸した関西風もいい。桜餅の好みは分かれるが、どちらも香り高く季節を知らせる。店に並び始めると、サクラのつぼみが膨らみ開花が近づく頃。春の風物詩である▼今年は暖冬で開花が早くなる予想。風物詩と言えばも.....
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 薄紅色の皮で餡を包んだ関東風も、道明寺粉を蒸した関西風もいい。桜餅の好みは分かれるが、どちらも香り高く季節を知らせる。店に並び始めると、サクラのつぼみが膨らみ開花が近づく頃。春の風物詩である▼今年は暖冬で開花が早くなる予想。風物詩と言えばもう一つ、花見があるが、この春はいつもと光景が変わりそうだ。終息の見通しが立たない新型コロナウイルスの影響で、東京都が公園などでの宴会自粛を要請した▼シートを敷いた長時間の飲食は、感染拡大の恐れが高まると問題視。歩いて観賞するのは問題ないという。恒例の楽しみがなくなり残念がる声も聞こえるが、花見の歴史を紐(ひも)解(と)くと、そう落胆する必要はない▼江戸時代、花見の対象はサクラだけではなかった。コブシやアンズ、スモモなど春の多彩な花を楽しんだとか。樹木学者の勝木俊雄さんが『桜の科学』で記している。ソメイヨシノが広まる前の主役は野生のヤマザクラ。山に出掛けて愛でていた▼イベント、選抜高校野球などスポーツ大会の中止が相次ぐ中、世界的大流行「パンデミック」が表明された。見えない「敵」は怖いが、人々から笑顔と冷静さが消えるのはもっと怖い▼心身が強張っていてはストレスが増す。リフレッシュが必要。今年は「昔の花見」に戻るのもいい。野山の花たちは人の世に惑わされず、変わることなく咲く。その姿に和むはず。