天鐘(2月28日)

恋愛コメディーにSF、アクション、社会派ドラマ。好きな映画のジャンルは人それぞれ。洋画に邦画。これまでの大きなくくりの中に、韓国映画が加わりそうな勢いである▼日本でも続々と上映されるようになった。娯楽として見に行くと驚かされる。小欄の見た作.....
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 恋愛コメディーにSF、アクション、社会派ドラマ。好きな映画のジャンルは人それぞれ。洋画に邦画。これまでの大きなくくりの中に、韓国映画が加わりそうな勢いである▼日本でも続々と上映されるようになった。娯楽として見に行くと驚かされる。小欄の見た作品がたまたま社会派だったせいかもしれない。南北問題の背後にある“南側”権力者たちの保身、国家破産の危機を隠して情報操作し、国民を裏切る政府…▼「保身」「情報操作」。韓国だけでなく、どこの政権にもありそうな“悪弊”である。映画のモチーフに選ぶ国もあれば、あえて選ばない国も。気質の違いはもとより、政権に忖度(そんたく)する風潮があるかないかでも異なる▼もっとも、韓国映画にしても批判する対象は、前の保守政権時代の話。ただし、この辺を差し引いて見ても自国の抱える闇をあぶり出し、負の歴史と向き合う内容は骨太だ▼今回のアカデミー賞を受賞した「パラサイト 半地下の家族」も、韓国の格差社会を描いた作品。ポン・ジュノ監督は、前の朴槿恵(パク・クネ)政権下で政権に不都合な文化人としてブラックリストに含まれていたとか▼抑圧されるほど反発が強まり、創作の原動力になったよう。韓国映画の力の遠因には、1980年代の民主化運動を忘れない国民性もあるのか。翻って日本。こちらも長期政権で題材になる“悪弊”はいくらでも出ているのだが。