天鐘(2月15日)

ある世代の人なら、よく耳にした曲なのでは。1970年代にヒットしたGAROの「学生街の喫茶店」。小欄はまだ物心付き始めた頃だったが、テレビで見て覚えている。髪の長い男の人が歌う姿と歌詞が印象的だった▼〈君とよくこの店に来たものさ 訳もなくお.....
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 ある世代の人なら、よく耳にした曲なのでは。1970年代にヒットしたGAROの「学生街の喫茶店」。小欄はまだ物心付き始めた頃だったが、テレビで見て覚えている。髪の長い男の人が歌う姿と歌詞が印象的だった▼〈君とよくこの店に来たものさ 訳もなくお茶を飲み話したよ〉。とにかく耳に残った。そして憧れた。大学生とは余るほど時間があるのか、いつも喫茶店で話しているなんて何といいものだろう▼聞くほど味わい深い、青春の哀愁をまとったフォークソングである。作詞した山上路夫さんは闘病していた事情から大学生活の経験はないが、それ故に憧れて作ったとも伝わる▼実際、大学生だけでなく若者たちが喫茶店で語り合った時代。友人、恋人と向き合って座り、コーヒー1杯だけで楽しい。話すことはいくらでもあり、相手との距離も縮まった▼近年、対面で話をするのが苦手、面倒と思う若者が増えているという。スマートフォンの登場により、SNSでつながるコミュニケーションが取って代わったせいか。会わなくても情報交換できるというが…▼喫茶店の風景も様変わり。誰かと一緒でも、うつむきスマホをいじる人があちこちに。歌のフレーズを思い出す。〈時は流れた〉。が、向き合わないと会話力も落ちる。何も面倒なことではない。訳もなく話すだけでできる。その前に喫茶店自体が減っているのだが。