【校則見直し】地毛否定され、卒業アルバム髪黒塗り

 福岡市立中の卒業アルバムの西田藍さん。髪を黒く塗られていた(本人提供)
 福岡市立中の卒業アルバムの西田藍さん。髪を黒く塗られていた(本人提供)
2007年春。書評家西田藍さん(29)は、福岡市立中で受け取った卒業アルバムに写る自分の写真にショックを受けた。生まれつき茶色の髪が、黒く塗られていた。自分を否定されたようで「悲しい」。地毛証明を提出した経験もある。「黒髪ストレートだけが『.....
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 2007年春。書評家西田藍さん(29)は、福岡市立中で受け取った卒業アルバムに写る自分の写真にショックを受けた。生まれつき茶色の髪が、黒く塗られていた。自分を否定されたようで「悲しい」。地毛証明を提出した経験もある。「黒髪ストレートだけが『普通』なのか。人権侵害だと思う」。いまだに各地で不合理な規則が残る中、当事者の思いを知ってほしいと声を上げる。[br][br] 西田さんは父が米国人で母は日本人。中学には母(56)が「娘は幼い時から髪色が明るい」と文書で伝え、色を指導されたことはなかったが、アルバムを見て「裏切られた」と感じた。母も「頭の中が真っ白になった」といい、学校に撮り直しや謝罪を求めたが聞き入れられず「思い出すたびに悔しさがこみ上げる」と打ち明ける。[br][br] 進学した福岡県立高でも「地毛証明を出せば指導はしない」と言われ、応じた。でも、なぜ生来の髪を「特例」と認めてもらう必要があるのか。違和感は拭えない。他にも下着の色指定や、眉毛の手入れ禁止など細かいルールに縛られ「学校に信頼されていないと感じていた」。威圧的な雰囲気も苦痛で、不登校になり、退学した。[br][br] 今年4月、誰にも見せたくなかったアルバムの写真をツイッターに投稿した。きっかけは母に「あの時、守ってあげられなくてごめんね」と謝られたこと。現在も各地で地毛証明などの指導があると知り、問題を可視化させようと考えた。反響は「予想以上」。同じような目に遭ったとの声も寄せられ「自分だけじゃないんだ」と根深さを感じた。[br][br] 福岡市教育委員会の中学校教育課は取材に「10年以上前のことで各校の対応は分かりかねる。今は髪を黒塗りする例はないと思う」と回答。昨年5月の調査では、地毛証明を提出させている中学はなかったとしている。 福岡市立中の卒業アルバムの西田藍さん。髪を黒く塗られていた(本人提供)