【連載・青銀・みち銀 巨大地銀誕生へ】(中)「統合効果」

青森銀行本店(奥)と隣接するみちのく銀行の支店。経営統合の効果に期待が集まる
「『地域のために』との志を一つにして、一歩を踏み出せたことに大きな意義がある」(青森銀行の成田晋頭取)、「一緒になることが最も地域のためになる。今まで以上に地域を元気にできる銀行になる」(みちのく銀行の藤澤貴之頭取) 経営統合協議入りを発表.....
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 「『地域のために』との志を一つにして、一歩を踏み出せたことに大きな意義がある」(青森銀行の成田晋頭取)、「一緒になることが最も地域のためになる。今まで以上に地域を元気にできる銀行になる」(みちのく銀行の藤澤貴之頭取)[br][br] 経営統合協議入りを発表した14日の共同会見で、決断の理由を問われた両頭取は「地域のため」というフレーズを何度も口にした。[br][br] 経営統合による効果について、両行は▽金融サービス強化▽経営の合理化・効率化▽事業領域の拡大―の3点を挙げる。[br][br] だが、利用者にとっては具体的な利点が見えにくい。両行が一緒になることで、どのようにサービスが向上するのか。会見でも「金融サービスを維持できる」(成田頭取)、「2行の強みを合わせ、質の高い提案ができる」(藤澤頭取)と抽象的な言葉が並んだ。[br][br]   ◇    ◇[br][br] 両行が経営統合した後の県内貸出金シェアは7割を超える。総資産約6兆円の巨大地銀が青森県に誕生する。一方で競争がなくなることへの懸念も消えない。利用者は「これまでのように融資を受けられるか」と不安を抱く。[br][br] 両行頭取は、顧客本位の事業展開を約束するが、地域金融が専門の青森公立大の國方明准教授は「店舗や現場の人員が減れば、顧客情報の蓄積や共有がしづらくなり、顧客ニーズを踏まえたサービスを提供できなくなる恐れもある」と弊害を指摘する。[br][br] 「銀行と顧客に温度差があれば、経営統合や合併は成功しない。銀行の存続目的という次元ではなく、何を地域に還元するか、丁寧な説明が求められる」と注文を付けた。[br][br]   ◇    ◇[br][br] 人口減少や低金利の長期化など構造的不況に陥っている地銀は、早急に経営基盤を強化しなければ生き残るのが難しい環境にある。全国で再編が活発化している理由は、この点にある。[br][br] 國方准教授は「地域金融サービスの維持を期待できるのが一番のメリット」と再編の意義を強調。「経営余力があるうちに決断することで、インフラとも言える金融仲介機能を提供し続けられる」と両行の経営統合による効果を見込む。[br][br] だが、単なる規模拡大だけにとどまれば、いずれ今と同じ経営課題に突き当たる。求められるのは2行統合の相乗効果だ。従来の枠にとらわれない新たなサービスやビジネスを生み出し、稼ぐ力を付ける必要がある。[br][br] 東北銀行(盛岡市)の村上尚登頭取は、青銀とみち銀の経営統合へのコメントを避けつつ、地銀再編についてこう指摘した。[br][br] 「再編は経費の圧縮にはつながると思うが、重要なのは確固たるビジネスモデルを持っているか、ビジネスモデルを今後どう進めていくかだ」