南米チリ、ワクチン迅速接種も再拡大 効果を過信、国民の気緩む?

 チリの首都サンティアゴで、ドライブスルー式でシノバック製ワクチンの接種を受ける女性=3月27日(AP=共同)
 チリの首都サンティアゴで、ドライブスルー式でシノバック製ワクチンの接種を受ける女性=3月27日(AP=共同)
【サンパウロ共同】新型コロナウイルスのワクチン接種が速いペースで進んでいた南米チリで、4月に感染が再拡大し「チリ・パラドックス(矛盾)」と呼ばれた。入院患者が急増し医療システムを圧迫、政府は国境封鎖措置を取った。中国製を1回打っただけで効果.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 【サンパウロ共同】新型コロナウイルスのワクチン接種が速いペースで進んでいた南米チリで、4月に感染が再拡大し「チリ・パラドックス(矛盾)」と呼ばれた。入院患者が急増し医療システムを圧迫、政府は国境封鎖措置を取った。中国製を1回打っただけで効果を過信し、国民の気が緩んだとの指摘もある。[br][br] 英オックスフォード大研究者らのデータベースによると、チリでは4月24日時点で少なくとも1回の接種を受けた人が約42%に上り、イスラエル(約62%)、英国(約50%)に次ぐ水準だった。[br][br] 世界有数の自由貿易協定(FTA)締結国のチリはそのネットワークを生かし、大量のワクチンを確保、昨年12月から円滑に接種を進めてきた。大半は中国の科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製という。[br][br] 南半球が夏を迎えた今年1月から、政府が厳しい規制を一転し休暇旅行を許可。自粛疲れからの解放感や、接種が進む安心感からマスク対策などが不十分なまま多くの人が国内を移動した。[br][br] 4月には1日の新規感染者が7千人台になるなど第2波が本格化。同月10、11日に予定していた地方選と制憲議会選を5月15、16日に延期する事態になった。[br][br] 1回目の接種後に感染を防ぐ有効性は米ファイザー製ワクチンが80%とされるのに対し、シノバック製はチリ当局の分析で16%にとどまった。このため保健省は1回目を広く行き渡らせるより、2回目の接種を優先させるよう方針を変更した。[br][br] 医師会の首都サンティアゴ地域のクリスピ会長は米紙ニューヨーク・タイムズに「接種すればパンデミック(世界的大流行)は終わりという誤ったメッセージを市民に伝えてしまった」と話す。 チリの首都サンティアゴで、ドライブスルー式でシノバック製ワクチンの接種を受ける女性=3月27日(AP=共同)