八戸市湊町のJR陸奥湊駅前地区で、民間主体の再整備構想が浮上していることが9日、関係者への取材で分かった。対象は駅正面から東側のエリアで、市営魚菜小売市場に隣接する四つの民間市場と旧青い森信用金庫むつ湊支店。老朽化した建物の耐震補強と大規模改修を行い、リノベーションが行われる魚菜小売市場と連動した再整備を見込む。地元関係者で組織する「陸奥湊駅通り地区まちづくり協議会」を中心に、事業主体となるまちづくり会社を本年度中に立ち上げ、早ければ2022年度中の事業着手を目指す。[br][br] 駅前地区では、06年度以降、官民一体の再開発構想が複数回、持ち上がったが、実現しなかった経緯がある。[br][br] 19年6月に設立された同協議会は当初、魚菜小売市場の建て替え計画を示していた市と共同で、隣接する民間市場も一体的に整備すると見込んでいたが、市は建て替えではなく、リノベーションする方針を決定。これを受け、同協議会は再開発の実現可能性を改めて検討し、民間市場に関する計画を見直した。[br][br] 今年3月の役員会で、駅前3エリア(東、西、南)のうち、魚菜小売市場に隣接する東エリアの民間市場4棟と旧青い森信金の建物を大規模改修する方針を決定した。[br][br] 同協議会によると、東エリアの面積は約2千平方メートル。最も古い民間市場は昭和30年代に建てられ、老朽化が進む。具体的なリニューアル計画や総事業費は土地・建物の調査結果を踏まえて決定するが、魚介類などを扱う商業スペースや飲食ブース、広場を整備する方向だ。[br][br] 民間市場のオーナーの負担軽減や総事業費の圧縮を図るため、土地・建物の所有関係や賃貸借などについては、新たに設立するまちづくり会社がオーナー側と調整する。再整備の方向性については、地権者らからもおおむね賛同を得ているという。[br][br] 一方、まちづくり会社は複数棟の改修を対象とした、国の優良建築物等整備事業での補助金活用を目指す。市と協議した上で国に事業申請を行う予定だ。[br][br] 早ければ22年度に土地・建物の調査や基本設計に着手し、段階的に改修工事を進める。優先する旧青い森信金の建物は23年度中のリニューアルを目指す。全体の事業完了は最短で25年度中の見込み。西と南のエリアの再整備は東エリアの事業終了後に検討する。[br][br] 同協議会の駒井庄三郎会長は「ようやくスタートラインに立った。着実に事業を進め、街のにぎわいにつなげたい」と強調。市まちづくり推進課の工藤俊憲課長は「新たな取り組みへの期待は大きい。連携して事業を進めていく」としている。