難病患者、避難名簿外4割 市区町村災害支援リスト 把握困難、逃げ遅れの不安も

 「避難行動要支援者名簿」の掲載対象にしている市区町村の割合
 「避難行動要支援者名簿」の掲載対象にしている市区町村の割合
災害時に避難の手助けが必要な住民をリストアップする「避難行動要支援者名簿」を巡り、全国の市区町村の約4割が難病患者を掲載対象としていないことが4日、分かった。潰瘍性大腸炎やパーキンソン病といった治療方法が確立せず長期療養が必要な難病は、障害.....
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 災害時に避難の手助けが必要な住民をリストアップする「避難行動要支援者名簿」を巡り、全国の市区町村の約4割が難病患者を掲載対象としていないことが4日、分かった。潰瘍性大腸炎やパーキンソン病といった治療方法が確立せず長期療養が必要な難病は、障害者や要介護者に比べ、把握しづらいことなどが理由。見た目では症状が分からない患者も多く、有事の際に逃げ遅れる恐れがあると関係者は危機感を募らせる。[br][br] 要支援者名簿は、自主防災組織や民生委員に提供され、災害時の避難支援や安否確認に活用される。名簿に載せる範囲は市区町村が判断する。[br][br] 総務省消防庁の調査では、難病患者を掲載対象としているのは、名簿を作成した1727市区町村の60・2%。身体障害者の98・1%、要介護者の97・3%より低い。[br][br] 都道府県別では、和歌山は管内の96・7%、岡山は92・6%が難病患者を対象に明記。一方、石川は15・8%だった。青森は76・3%、岩手は66・7%。[br][br] 厚生労働省は300超を難病に指定している。掲載対象としていない金沢市の担当者は「働ける人もいて、症状はさまざま。一律に掲載するのは難しい」と説明。本人や家族から希望があった場合のみ対応しているという。[br][br] 障害者や要介護者は市区町村が認定するのに対し、難病患者は、医療費助成の手続きを行う保健所が主に都道府県の所管のため、実態を把握しにくいという事情もある。[br][br] 掲載している和歌山県田辺市は、本人の同意を得て、保健所から情報提供を受けている。病名は開示されないため、単身世帯など避難で家族の手助けを得にくい人を名簿に掲載。患者支援団体の協力も得ているという。[br][br] 日本難病・疾病団体協議会の森幸子代表理事は、痛みやしびれ、倦怠(けんたい)感など外見上、分かりにくい症状を抱える患者が少なくないと指摘。「支援が必要な人は多いのに、市区町村が把握しきれていない。国が主導して名簿の掲載をもっと進めていくべきだ」と訴える。 「避難行動要支援者名簿」の掲載対象にしている市区町村の割合