仏英雄ナポレオン栄光陰る 没後200年記念巡り論議

 ナポレオンを描いた絵画「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」(ゲッティ=共同)
 ナポレオンを描いた絵画「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」(ゲッティ=共同)
【パリ共同】フランス皇帝ナポレオン・ボナパルト(1769~1821年)の死去から5月5日で200年。今も熱狂的な信奉者がいるが、奴隷制復活など負の歴史にもこれまで以上に焦点が当たるようになり、記念の在り方を巡り論議を呼んでいる。英雄の栄光は.....
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 【パリ共同】フランス皇帝ナポレオン・ボナパルト(1769~1821年)の死去から5月5日で200年。今も熱狂的な信奉者がいるが、奴隷制復活など負の歴史にもこれまで以上に焦点が当たるようになり、記念の在り方を巡り論議を呼んでいる。英雄の栄光は陰り、国が安易に礼賛できる時代は過ぎ去った。[br][br] 「ナポレオンの名前ほど輝かしいものはない」。1969年8月15日、ナポレオン生誕200年の記念式典で、当時のポンピドー大統領は称賛の言葉を連ねた。50年以上経た今年、メディアは「反目の200周年」(パリジャン紙)といった見出しで、節目の年を記念すべきかどうか意見が割れていると報じる。[br][br] ナポレオンの評価は以前から対立があった。軍事的才能、国の行財政機構からリセ(高校)、叙勲まで今も残る仕組みを設けたことなどがたたえられる一方、フランス革命が打ち立てた共和制をクーデターで覆して専制を敷き、欧州に戦争の惨禍を広げたことから強く嫌悪する人もいる。[br][br] 加えて反人種差別運動の高まりに伴い、革命で廃止された奴隷制をナポレオンが1802年にカリブ海の植民地で復活させたことが、より重大な過ちとして意識されるようにもなってきた。[br][br] ナポレオン擁護派は、当時の英国との戦争や経済状況が復活の理由で「人種差別とは関係ない」と訴えるが、現在は海外県となったカリブ海マルティニクなどでは「(国の)記念式典には全く反対だ」との声も上がる。[br][br] 2005年には、ナポレオンが勝利したアウステルリッツの戦いから200年の記念を巡っても反対があり、当時のシラク大統領は批判を避けるため式典を欠席した。[br][br] 歴史を国民結集の象徴として使うことを好むマクロン大統領の対応が今回注目されたが、政府報道官は「(ナポレオンは)私たちの歴史の重要人物だ。大統領は記念行事を行う」と明言。演説では1848年に改めて廃止された奴隷制にも触れる見通しだ。 ナポレオンを描いた絵画「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」(ゲッティ=共同)