【バイデン氏施政方針演説】中国との対決、高らかに宣告 米の覇権維持へ覚悟

 28日、バイデン米大統領が施政方針演説した上下両院合同会議=ワシントン(ワシントン・ポスト紙提供、AP=共同)
 28日、バイデン米大統領が施政方針演説した上下両院合同会議=ワシントン(ワシントン・ポスト紙提供、AP=共同)
バイデン米大統領は28日の施政方針演説で、21世紀の世界の行く末を握る中国との全面対決を高らかに宣告した。内政・外交両面で中国を意識。トランプ前政権の「米国第一」主義をほうふつとさせる強い表現も織り交ぜ、トランプ支持者にも秋波を送った。日本.....
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 バイデン米大統領は28日の施政方針演説で、21世紀の世界の行く末を握る中国との全面対決を高らかに宣告した。内政・外交両面で中国を意識。トランプ前政権の「米国第一」主義をほうふつとさせる強い表現も織り交ぜ、トランプ支持者にも秋波を送った。日本を含む同盟国との連携や国際協調により「米国が勝つ」と強調し、覇権を維持する覚悟を鮮明にした。[br][br] ▽脅 威[br] 「バイ・アメリカン(米国製品を買おう)」「ジョブ(雇用)、ジョブ、ジョブ」。バイデン氏は演説で、トランプ前大統領が好んだ言い回しそのままに国民に訴えかけた。トランプ支持者も含め国全体の結束を求めた背景には、看過できない中国の脅威拡大がある。[br][br] 「『合意に時間がかかりすぎる民主主義は、21世紀には専制主義にかなわなくなる』と習近平国家主席は考えている」。何度も中国や習氏に言及したバイデン氏。1時間余りの演説の大半を割いた国内政策でも異例の対中強硬色をにじませた。[br][br] 2016年の大統領選でトランプ氏当選の原動力となったラストベルト(さびた工業地帯)の有権者にも直接訴える。「北京の代わりに(ラストベルトの)ピッツバーグで風力発電用の羽根を製造できない理由はない」[br][br] ▽酷 似[br] 「あらゆる分野で米国の国益を守る」。習氏に対し紛争は望まないとしつつ、こう伝えたと力説。中産階級重視の外交を進め、中国による技術・知的財産の窃取や不公正な貿易慣行に対峙(たいじ)する意気込みだ。「中国や他国(の研究開発費)は米国と差を急速に縮めている。次世代製品や技術を開発し、優位に立たなければならない」と危機感をあらわにした。[br][br] 同盟・友好国や国際協調を重視し、人権や民主主義を擁護するバイデン氏。トランプ氏とは立場が異なるが「新冷戦」とも呼ばれる激しい米中対立を続ける対中強硬姿勢は酷似している。[br][br] インド太平洋地域では強力な軍事力を維持。前政権が発動した対中制裁は一層強め、与党民主党内からも「新旧政権の外交政策は同じだ」との声が上がる。[br][br] ▽真 価[br] 外交課題は中国だけではない。新型コロナウイルス感染拡大や地球温暖化問題など「地球規模の闘い」を主導する決意も重ねて表明。「専制国家」ロシアへの対応のほか、アフガニスタン駐留米軍撤退や北朝鮮、イラン核開発など難題が立ちはだかる。[br][br] アフガンは駐留のきっかけとなった米中枢同時テロから20年となる9月11日までの完全撤退を掲げるが、反政府武装勢力タリバンはトランプ前政権と合意した4月末までの完了を求めて攻撃再開も警告。予定通り進められるかは見通せない。[br][br] 前政権が離脱したイラン核合意への復帰交渉も道半ばだ。核・ミサイル開発を進める北朝鮮対応では政策見直し作業が継続中で、踏み込んだ発言はなかった。[br][br] 政権発足100日を過ぎると、国民の目は厳しさを増す。前政権からの混乱、新型コロナ大流行を踏まえ「危機に陥った国を引き継いで100日たった」と強調。第2次大戦で「戦時下の大統領」だったフランクリン・ルーズベルト元大統領も引き合いに出し「全員が自分たちの役割を果たそう」と国民全体に呼び掛けた。今後注目を浴びる老練政治家の真価。分断を克服し、中国を抑え込むことはできるだろうか。(ワシントン共同) 28日、バイデン米大統領が施政方針演説した上下両院合同会議=ワシントン(ワシントン・ポスト紙提供、AP=共同)