【首相衆参3選挙全敗】発端は「政治とカネ」 広島と北海道で議論に格差

 河井克行元法相と妻の案里前参院議員(左上)、吉川貴盛元農相(右上)と国会議事堂(下)のコラージュ
 河井克行元法相と妻の案里前参院議員(左上)、吉川貴盛元農相(右上)と国会議事堂(下)のコラージュ
25日投開票の衆参3選挙のうち、衆院北海道2区補欠選挙と参院広島選挙区再選挙の発端は、自民党議員による「政治とカネ」の問題だった。選挙戦では、与野党対決の広島で問題が正面から取り上げられた一方、自民が候補者擁立を見送った北海道では議論は盛り.....
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 25日投開票の衆参3選挙のうち、衆院北海道2区補欠選挙と参院広島選挙区再選挙の発端は、自民党議員による「政治とカネ」の問題だった。選挙戦では、与野党対決の広島で問題が正面から取り上げられた一方、自民が候補者擁立を見送った北海道では議論は盛り上がらなかった。[br][br] 地元議員らに現金を渡したとして、前衆院議員の河井克行元法相と妻の案里前参院議員が昨年6月に逮捕された買収事件。その舞台になったのが参院広島選挙区だ。東京地裁は今年1月、案里前議員に有罪判決を言い渡した。克行元法相は公判中で、3月には当初の無罪主張を覆し、起訴内容の大半を認めた。[br][br] 「信頼を取り戻すため、規律強化を進めたい」。再選挙で自民新人の西田英範氏(39)は、党本部から駆け付けた国会議員と一緒に何度も頭を下げた。支持者の反発は想定以上で、最終盤には「考えられないような事件が起き、県民の名誉が傷つけられた」と党に対する批判も展開した。[br][br] 対する政治団体「結集ひろしま」新人の宮口治子氏(45)は「今、声を上げなければ『広島はお金を渡して選挙をしていいところなんだ』と日本中の人が思う。そんな情けなく、悲しい話はない」と訴えた。[br][br] 河井夫妻事件の捜査がきっかけで、衆院北海道2区選出の吉川貴盛元農相が鶏卵生産大手元代表から現金を受け取った疑惑が浮上した。吉川元農相は昨年12月、体調不良を理由に議員辞職。東京地検特捜部が今年1月に収賄罪で在宅起訴した。[br][br] 補選では政治とカネが最大の争点になると見られたが、自民は不戦敗を決定。立憲民主党元職の松木謙公氏(62)は、両親からの寄付を巡り政治資金収支報告書の訂正を発表したこともあり、問題には積極的に触れなかった。出馬会見で問題に言及した無所属新人の鶴羽佳子氏(53)も支持者から「吉川氏個人の問題」と指摘されて一時批判をトーンダウンさせ、議論は低調だった。[br][br] 日本大大学院の岩井奉信講師(政治学)は「政治とカネの問題は『けしからん』という話は出ても『じゃあどうするのか』という議論がなかなか起こらない。個人の問題で終わらせず、制度や仕組みを見直していく必要がある」と話した。 河井克行元法相と妻の案里前参院議員(左上)、吉川貴盛元農相(右上)と国会議事堂(下)のコラージュ