菅義偉首相は25日の衆参3選挙で衆院北海道2区の不戦敗を含めて全敗を喫し、次期衆院選に向けたさらなる逆風の強まりを懸念する。衆院解散の時期についても慎重に判断せざるを得ない状況に追い込まれた。政権運営の態勢を立て直す観点からも、新型コロナウイルス対応が一層の急務となる。野党は共闘の成果が表れたとして攻勢を強める。[br][br] 東京など4都府県に発令した緊急事態宣言の期限は5月11日。宣言解除の是非や、その後の感染抑止の成否が内閣支持率を左右するのは間違いない。政府はコロナ対策最優先で臨む考えだ。[br][br] 首相は23日の記者会見で高齢者のワクチン接種を「7月末をめどに終えたい」と言明。想定通りに接種スケジュールを進められるかどうかが注目点の一つとなる。政府はワクチンの一定の普及で国民の安心感を醸成し、政権浮揚の頼みの綱とする7月23日開幕の東京五輪の成功につなげる青写真を描く。[br][br] 与党内では「全敗ショック」により、7月4日の東京都議選に合わせた同日選など早期解散の機運は急速にしぼみつつある。五輪の余勢を駆った「9月解散、10月投開票」とみる向きが強まりそうだ。[br][br] ただ任期満了日に近づけば「追い込まれ解散」となって苦戦するリスクを伴う。無派閥出身の首相は党内基盤に不安を抱えており、選挙の顔になり得ないと判断されれば「菅降ろし」が一気に進む展開もあり得る。[br][br] 野党は上げ潮ムードとなった。「政治とカネ」も争点だっただけに、自民党の「金権体質」(枝野幸男立憲民主党代表)を批判材料に、6月16日の通常国会会期末をにらんで政権を一気に追い込みたい考えだ。