【ワクチン接種】接種の介護施設、入念準備 認知症などに対応

 特別養護老人ホーム「博水の郷」で新型コロナウイルスワクチン接種の準備をする医師ら=17日、東京都世田谷区(同ホーム提供)
 特別養護老人ホーム「博水の郷」で新型コロナウイルスワクチン接種の準備をする医師ら=17日、東京都世田谷区(同ホーム提供)
12日から各地で始まった高齢者への新型コロナウイルスワクチンの接種。クラスター(感染者集団)の発生リスクが高い介護施設での実施が進むが、入所者が持病で直前に体調を崩して受けられなくなったり、認知症のある人が普段と違う様子に落ち着かなくなった.....
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 12日から各地で始まった高齢者への新型コロナウイルスワクチンの接種。クラスター(感染者集団)の発生リスクが高い介護施設での実施が進むが、入所者が持病で直前に体調を崩して受けられなくなったり、認知症のある人が普段と違う様子に落ち着かなくなったり。各施設は入念な準備と細心の注意で臨んだ。[br][br] 「注射しますけど、大丈夫だからね」「チクッとするよー」。17日、東京都世田谷区の特別養護老人ホーム「博水の郷」。1回目の接種で入所者と職員それぞれ約半数の計95人が受けた。[br][br] 居室のある2階と3階の食堂スペースに車いすの入所者が並んで待機。上腕部を出しやすい服をなるべく着てもらい、嘱託医2人が次々と注射していく。体に触られるのが苦手な人や認知症の人には相性の良い職員が声を掛けて安心させ、入所者47人への接種は約20分で終わった。[br][br] 高血圧などで間際に体調が悪化した人が5人ほど出たが、そうした事態を想定して事前に決めていた代わりの入所者に打ち、ワクチンを無駄にせずに済んだ。アナフィラキシーや副反応が出た人は職員を含め一人もおらず、田中美佐施設長は「安堵(あんど)しました」と胸をなで下ろす。[br][br] 注射自体は例年、インフルエンザの予防接種をしているため慣れていた。ホームの看護師4人がむしろ神経を使ったのは、ワクチンの入った小瓶に生理食塩水を入れて5回分を注射器に吸入する作業。池内祥子看護課長は「インフルとは勝手が違い、初めてのことだったので、すごく慎重にやった」と話した。[br][br] 兵庫県伊丹市の介護老人保健施設「グリーンアルス伊丹」の塩田真一郎事務長も「大変だったのは事前の準備」と振り返る。入所者の接種券や問診票を事前に家族から集め、綿密に計画。12~16日に入所者と職員計190人が接種を受けた。[br][br] 昨年3月、併設の通所リハビリ(デイケア)でクラスターが発生したこともあり、この1年、厳重な感染対策を取ってきた。一方で、兵庫県の感染者数は急増。家族の職場や学校で感染者が出た職員は自宅待機となり、接種を受けられない人もいた。[br][br] 「ワクチンの効果に期待しているが、5月に2回目が終わるまでは安心できない」。塩田事務長はそう気を引き締めた。 特別養護老人ホーム「博水の郷」で新型コロナウイルスワクチン接種の準備をする医師ら=17日、東京都世田谷区(同ホーム提供)