【コロナワクチンの高齢者接種1週間】接種人数の把握、期待外れ 記録システムで実数と隔たり

 ワクチン接種の主な課題
 ワクチン接種の主な課題
新型コロナウイルスワクチンの高齢者接種が始まり1週間。新たに導入された住民接種情報を一元管理する接種記録システムは早速、期待外れの事態に陥った。システム上の接種者数と実際の数に隔たりがあるためだ。1瓶で5回分取れるワクチンは開封後に使い切っ.....
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 新型コロナウイルスワクチンの高齢者接種が始まり1週間。新たに導入された住民接種情報を一元管理する接種記録システムは早速、期待外れの事態に陥った。システム上の接種者数と実際の数に隔たりがあるためだ。1瓶で5回分取れるワクチンは開封後に使い切って無駄を防ぐ必要がある。いずれも自治体の対応に委ねられるものの、国からの注文の多さに負担感が増す可能性もある。[br][br] ▽登録ゼロ[br] 「その日の全国的な接種実績をリアルタイムに近い形で把握すること」を主な目的として、国が導入を図った新システム。全国1741の市区町村と国がシステムでつながり、日々の進み具合を迅速に把握するものだ。[br][br] 仕組みは、住民に配布する接種券(クーポン券)にあらかじめバーコードなどで住民情報を記載し、各地の集団接種会場など、その場で職員らがデータをタブレットを使って読み取り、システムに反映させる。開発費は約3億8500万円で、自治体へのタブレット配布に約60億円をかけた。即日の接種記録が次々と入ってくる想定だった。[br][br] だが接種が始まると、自治体側の作業の遅れが続発している。西日本のある市は14日時点で約140人の接種を終えたものの、システム上の登録人数はゼロだ。[br][br] 市は、委託業者を使い接種会場から入力資料を回収。市に届くまで3~4日かかり、その後、入力するためにタイムラグが出る。担当者は「入力という負担が増えることは、医療機関側に頼みづらい。万一の登録漏れを防ぐためにも市のスタッフが作業に当たる」と語った。[br][br] ▽本 音[br] 特設会場2カ所で接種を進める福島県郡山市は職員が数日遅れで入力した。「ほかの業務もあり、正直、手が回らない」のが理由。長野県北相木村は作業効率の観点から週1回まとめて登録する考え。宇都宮市は15日時点で「登録作業をどのように行うか、最終調整している」という状況だ。[br][br] 背景にあるのは、未経験の事業をミスなく円滑に進めるのに伴う業務量の多さと複雑さ。「即日で記録を登録して喜ぶのは国だけ」(ある市担当者)との本音も漏れる。政府の担当者は「接種会場での読み込みが最も望ましいが負担感はそれぞれ。登録を翌日に持ち越してもやむを得ない」と言うのがやっとだ。[br][br] ▽反 省[br] 12日からの接種では、予約のキャンセル発生で東京都八王子市、京都市、大津市など各地でワクチン廃棄が相次いだ。河野太郎行政改革担当相は13日の記者会見で「廃棄されないようにお願いしたい」と苦言を呈した。[br][br] 郡山市は、13日にキャンセルがあり1回分を無駄にした反省から、対応を変えた。2会場計5人分の余りが出た15日、予約なしで接種希望の医療従事者らを探して使い切った。[br][br] 事情は海外も同じだ。米ロサンゼルスの例では1月、余った分で接種を受けようと若者らが接種会場前に長蛇の列を作った。「ワクチン・チェイサー(ワクチンを追う人)」と呼ばれ、医療機関側も積極対応した。[br][br] 少なくない自治体が接種に当たる医師らの確保に苦しむ中、河野氏は新たに土日祝日や夜間実施を目指す意向を示した。18日には、9月末までに16歳以上の国民全員分のワクチンを調達できる見通しになったと表明。高齢者向けワクチンの具体的な配送計画すら未定のままで、自治体の不信感は根強い。 ワクチン接種の主な課題