2050年の二酸化炭素(CO2)排出実質ゼロ達成に向け、日本航空が具体策をまとめた計画が16日、分かった。40年以降に全ての国内線のジェット機燃料を、廃プラスチック由来の国産燃料と廃油や家庭の生ごみなどを原料とする次世代燃料で代替する。一方、再生可能エネルギーでつくった水素を使う小型機も35年以降に導入する。[br][br] 政府目標に合わせて50年に向けた脱炭素化を表明した企業は多いが、詳しい工程を示すのは珍しい。航空機はCO2排出量が移動手段の中でも多く、大胆な対策が必要になっていた。これらは来月7日に公表する中期経営計画に盛り込む。[br][br] 日航は昨年6月、50年にCO2排出を実質ゼロにする目標を表明した。計画は燃費の良い機材への更新と新燃料の導入、機内食容器の見直しなど「脱プラスチック」の取り組みを柱とする。自社単独での削減には限界があるため、植林や他社の削減分を購入する「カーボンオフセット」も取り入れる。[br][br] 国産の新燃料は丸紅などと共同で開発を進めており、27年ごろまでの製造を目指す。現行の化石由来のジェット機燃料は輸入に頼っているため、国内製造には課題が山積する。新たな設備投資や研究には多額の費用がかかるため、環境対策分野の技術革新を後押しする政府主導の2兆円基金の活用を視野に入れる。[br][br] 米国を含めた海外勢が先行する、廃油や生ごみを原料とした次世代燃料も協力企業への出資などを通じて供給を受ける。国内外から調達した新燃料の使用比率は30年までに10%へ引き上げる。[br][br] 航空業界は新型コロナウイルス流行で旅客需要の回復が想定よりも遅れて業績が悪化している。企業の環境対応への関心は高まっており、収益との両立という難しいかじ取りを迫られている。