【五輪聖火リレー】沿道対策、限界露呈 自治体難しい判断

 名古屋・栄で行われた聖火リレーに集まった大勢の観客=5日
 名古屋・栄で行われた聖火リレーに集まった大勢の観客=5日
新型コロナウイルスの新規感染者数が1日当たり過去最多となった大阪府の東京五輪聖火リレーは7日、公道での走行が全て中止となることが決まった。これまで実施された大都市では、観客が集まり過ぎる「密集」状態が相次いだ。感染力が強いとされる変異株の拡.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 新型コロナウイルスの新規感染者数が1日当たり過去最多となった大阪府の東京五輪聖火リレーは7日、公道での走行が全て中止となることが決まった。これまで実施された大都市では、観客が集まり過ぎる「密集」状態が相次いだ。感染力が強いとされる変異株の拡大が懸念される中、どのように密集を避けるのか。沿道の対策は限界を露呈し始めており、今後聖火を迎える自治体は難しい判断を迫られる。[br][br] ▽リスク[br] 「府民の皆さんに不要不急の外出自粛をお願いしている中で(公道でのリレーを)するのは適切ではないと判断した」。7日午後の記者会見で、吉村洋文知事は公道での走行を取りやめる理由を説明した。[br][br] 「まん延防止等重点措置」の対象となった大阪市に限り中止する方針だったが、感染者の急増により方針を一転させた吉村氏。「愛知県の聖火リレーを見ても、対策を取ると言いながらも、聖火を見たいということで密になった。大都市では密になりやすい」と、リスクを繰り返し強調した。[br][br] 代替措置として、13、14日に大阪府吹田市の万博記念公園で一般の観客を入れず、希望するランナーで聖火をつなぐ見通しだ。大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は「引き続き受け入れてもらう地元にとって安全で安心なリレーが実施できるよう緊密に連携したい」と述べた。[br][br] ▽観客鈴なり[br] やり玉に挙げられた愛知県のリレーは5、6日に実施された。初の政令指定都市だった名古屋市では、繁華街で観客が沿道に詰め掛け、身動きが取れないほどに混雑。岡崎市では、ランナーを務めたお笑いコンビ「キャイ~ン」の天野ひろゆきさんを一目見ようと、ロープを張った沿道に観客が鈴なりになった。[br][br] 丸川珠代五輪相は6日の記者会見で「正直ちょっと多かった」と苦言を呈し、観覧スペースを広げるなど「対策を徹底していただきたい」と求めた。[br][br] それでも組織委は「大きな問題はなかった」と主張。過度な密集が解消しない場合、市区町村単位で走行を取りやめることもあると説明してきたが、実際にはランナーの走行とともに人の流れも変化するため、中断の判断は難しいのが実情だ。[br][br] ▽臨機応変[br] 組織委の幹部がリレーの「最大の懸案」と認める密集対策だが、沿道での観覧自粛までは呼び掛けていない。背景には多額の運営資金を拠出するスポンサーの存在があるためだ。各社は宣伝用の車両を走らせ、沿道でPR活動に取り組む。関係者は「スポンサーの手前、『観覧自粛』と言うことはできない」と明かす。[br][br] 大阪に次いで15、16日に聖火が巡る徳島県では高齢者の観覧が多くなると想定しており、観客へのマスク着用の徹底を求め、公道でも走行する予定だ。県の担当者は「リレーまで、あと1週間。感染状況次第で臨機応変に考えるしかない」と語った。 名古屋・栄で行われた聖火リレーに集まった大勢の観客=5日