【米軍ミサイル構想】対中国、選択迫られる日本 台湾侵攻想定、軍事緊張も

 米軍高官のミサイル配備構想と日本
 米軍高官のミサイル配備構想と日本
中国に対抗するため日本列島に米軍の地上配備型ミサイルを構築すべきか。菅義偉首相の訪米を控える日本政府内で、米軍のアジア地域でのミサイル網整備構想が重要課題に浮上した。背景にあるのは、近い将来、中国が台湾を侵攻するかもしれないとする米軍高官の.....
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 中国に対抗するため日本列島に米軍の地上配備型ミサイルを構築すべきか。菅義偉首相の訪米を控える日本政府内で、米軍のアジア地域でのミサイル網整備構想が重要課題に浮上した。背景にあるのは、近い将来、中国が台湾を侵攻するかもしれないとする米軍高官の分析。米側には、日本などから中国にミサイルを向け、脅威を与えることで台湾侵攻を思いとどまらせる狙いがある。だが中国の反発を招き、軍事的緊張を高めるリスクも付きまとう。日本は重い選択を迫られる。[br][br] ▽不可避論[br] 「受け入れる方向で考える必要がある。国内世論の反発は大きいだろうが、台湾防衛は日本の安全保障に直結する最重要課題だ」。安全保障に携わる政府関係者は、中国を抑止する観点から日本配備は不可避だとの認識を示す。[br][br] アジアにミサイル網を構築する必要性を強調したのは、米インド太平洋軍のアキリーノ次期司令官。台湾侵攻が「6年以内」に起きる可能性があると指摘したのは、間もなく退任するデービッドソン現司令官だ。米側の危機感表明が、日本政府を新たな対米連携へと突き動かしつつある。[br][br] 岸信夫防衛相は2日の記者会見で、にらみ合う中台の軍事力について「中国にバランスが傾いている。差は年々拡大している」と述べ、憂慮を表明。菅氏も4日のフジテレビ番組で、中国動向への不安はあるかと聞かれると「ひしひしと感じる」と答えた。中台問題対応では「日米で連携し、抑止力を維持する中で平和的に解決できる環境をつくることが大事だ」と強調した。[br][br] ▽反発警戒[br] 中国が台湾を武力侵攻すれば、目と鼻の先にある日本は国家的危機に陥る。だからこそ米国と連携して抑止力を高め、武力統一は破滅につながると中国に警告する必要がある―。配備受け入れ派から透けるのは、こうした情勢認識だ。[br][br] だが政府内には早期配備への慎重論も漂う。背後には「『日本を台湾有事の最前線に押し出すのか』などの反対論を引き起こしかねない」(外務省関係者)との懸念がある。配備先は有事の際に中国ミサイルの攻撃対象になることが想定されるため、自ら手を挙げる自治体は皆無に近いとみられる。[br][br] 対中外交に深刻な影響を及ぼすとの見方も取り沙汰される。先月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同文書に台湾問題への懸念が盛り込まれた際、中国は「米国の顔色をうかがい従属している」(外務省の趙立堅副報道局長)と日本を非難した。中国に強度の圧力を加えつつ、好調な日中経済関係を堅持するのは容易でない。[br][br] ▽態度保留[br] 政府は配備構想への態度を明らかにせず、世論や各国の動向を見守っている。茂木敏充外相は2日の衆院外務委員会で「米国から『直ちに配備する状況にはなく、どの同盟国にも受け入れの打診はしていない』との説明を受けている」と述べ、議論の深入りを避けた。 米軍高官のミサイル配備構想と日本