【コロナ県内初確認1年】観光、宿泊産業打撃深刻 「我慢の時」から反転攻勢へ

新型コロナウイルス感染が初めて確認されてから約1年がたった青森県。観光団体は収束後を見据えて準備を進める(写真はコラージュ。左から時計回りに、みちのく潮風トレイルのツアー、種差天然芝生地、種差海岸でのグランピング)
新型コロナウイルス感染が初めて確認されてから約1年がたった青森県。観光団体は収束後を見据えて準備を進める(写真はコラージュ。左から時計回りに、みちのく潮風トレイルのツアー、種差天然芝生地、種差海岸でのグランピング)
青森県内で新型コロナウイルス感染者が初めて確認された昨年3月以降、人の往来や消費活動は停滞し、地元の観光・宿泊産業は多大な影響を受けている。観光施設は集客の落ち込みに加え、消費額が大きい旅行客の減少で売り上げ不振に陥った。宿泊施設の稼働率は.....
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 青森県内で新型コロナウイルス感染者が初めて確認された昨年3月以降、人の往来や消費活動は停滞し、地元の観光・宿泊産業は多大な影響を受けている。観光施設は集客の落ち込みに加え、消費額が大きい旅行客の減少で売り上げ不振に陥った。宿泊施設の稼働率は不安定で、観光支援事業「Go To トラベル」の動向に左右されている。一方、観光団体はこの1年間を準備期間に充て、3密を避けやすいアウトドア観光の開発などに着手。コロナ収束後の誘客を見据え、“我慢の時”を有効活用して反転攻勢に備えている。[br][br] 例年であれば、全体の7割が県外客という十和田市現代美術館は来館者数に影響が出た。2019年度の累計16万1千人に対し、20年度は4~12月の9カ月間で7万4千人。インバウンド(訪日外国人客)を含め好調だった19年度実績を割り込んでおり、臨時休館や旅行需要の減退が響いた。[br][br] 鷲田めるろ館長はゴールデンウイーク(GW)の集客増に期待しつつ、「消毒や換気といった対応を徹底したい。3密回避の対策も改めて検討する」と話す。[br][br] 県南地方の宿泊拠点となる八戸市内はホテルの稼働が低迷。主要25施設を対象とした調査によれば、県内に緊急事態宣言が発令された昨年4、5月は前年実績の6~7割減に急落した。[br][br] GoTo効果で10、11月は1割減まで回復したものの、その後はGoToの全国停止を受けて伸び悩む。市内のホテル関係者は「支援策の有無や全国の感染状況に左右されてしまう」と運営の難しさを指摘する。[br][br] 一方、この1年間は既存の観光資源の利活用策を見直す期間にもなった。八戸市の種差海岸を舞台にした観光事業を手掛ける「ACプロモート」(同市)はアウトドア人気を追い風に、種差の自然や「みちのく潮風トレイル」を生かしたツアーの企画に着手した。[br][br] 豪華なキャンプスタイルの「グランピング」に着目し、地場の海鮮やブランド牛が味わえる観光商品作りに注力。八戸圏域の町村部にある観光スポットと種差のグランピングを連動させたバスツアーも模索する。[br][br] 町田直子代表は「コロナ禍で自然の空間を楽しむ観光に目が向けられており、種差にはその環境がそろっている」と強調。「地域の大きな魅力である食も生かし、観光商品を磨き上げていきたい」と意欲を示す。[br][br] 日本伝統の「神社婚」と観光を組み合わせたサービスを提供する「青い森ひなた美人」(青森市)は、コロナ後を見据えて情報発信を強化。県内の名所で記念撮影するプランには、GWを前に県外客から問い合わせが増えているという。江渡仁隆社長は「種差海岸をはじめ、海や山のロケーションが豊富な県南は特に注目度が高い」と説明する。[br][br] 八戸圏域版DMO(観光地域づくり推進法人)「VISIT(ビジット)はちのへ」は、エリア内の町村部を回って観光資源の可能性を掘り起こし、地元関係者との連携を深めた。新たなオンラインシステムの導入で、地域事業者の販路拡大に向けた環境も整えた。[br][br] 塚原隆市理事長は「この1年間は事業を見直し、圏域内連携とデジタル活用を進めてコロナ後に備えてきた。観光と物産振興に生かしていきたい」と話した。新型コロナウイルス感染が初めて確認されてから約1年がたった青森県。観光団体は収束後を見据えて準備を進める(写真はコラージュ。左から時計回りに、みちのく潮風トレイルのツアー、種差天然芝生地、種差海岸でのグランピング)