日本銀行青森支店は1日、青森県内の3月期の企業短期経済観測調査(短観)を発表した。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、全産業で前期調査(2020年12月期)より4ポイント上向き、マイナス2となった。製造業がけん引し3期連続の改善となったが、非製造業の低さが響き、新型コロナウイルス感染拡大前の水準を下回った。[br][br] DIは業況が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を差し引いた数値。調査は2月25日~3月31日に181社を対象に行い、178社が回答した。[br][br] 業種別では製造業が9(前期比13ポイント増)と、17年12月以来の高水準。世界的な経済回復に合わせ、受注生産の改善が進んでいる。電気機械は、電気自動車へのシフトや第5世代(5G)移動通信システム化を追い風に関連部品が好調で69(38ポイント増)、鉄鋼は中国の産業向け機械の部材で動きがあり67(34ポイント増)と上向いた。一方、食料品は県内外の感染拡大で外食向けの需要が減少し、マイナス36(13ポイント減)だった。[br][br] 非製造業はマイナス8(1ポイント減)と3期ぶりの悪化。宿泊・飲食サービスは、政府の観光支援事業「Go To トラベル」の停止が響き、マイナス100(33ポイント減)、小売りは巣ごもり需要の落ち着きが見え始め、7(18ポイント減)と落ち込んだ。情報通信は広告や宣伝が再開しつつあり、マイナス29(14ポイント増)だった。[br][br] 次期(6月期)DIは、全産業で今期比9ポイント減のマイナス11を予想。21年度の売上高と経常利益の計画では、全産業で増収増益を見込む。設備投資は20年度より増加する見通し。[br][br] 森本喜和支店長は「製造業の回復は鮮明で、非製造業でも改善している業種が多く、コロナの影響範囲は狭まっている」とした上で「県内で事業者の多い飲食・サービスは感染拡大の影響を受けており、厳しい状況が続いてる」と述べた。