【スエズ運河コンテナ船座礁】物流の要衝まひ、長期化で経済打撃

 スエズ運河の混雑状況(ロイターなどによる)
 スエズ運河の混雑状況(ロイターなどによる)
アジアと欧州を結ぶ海上輸送の要衝、エジプト・スエズ運河で浅瀬に乗り上げ、水路を完全にふさいだコンテナ船の離礁が難航している。周辺で150隻以上が足止めされ、1時間ごとに4億ドル(約436億円)の損害発生が推計される中、物流のまひ解消のめどは.....
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 アジアと欧州を結ぶ海上輸送の要衝、エジプト・スエズ運河で浅瀬に乗り上げ、水路を完全にふさいだコンテナ船の離礁が難航している。周辺で150隻以上が足止めされ、1時間ごとに4億ドル(約436億円)の損害発生が推計される中、物流のまひ解消のめどは不透明だ。長期化するほど日本を含む国際経済への打撃が増していく。[br][br] ▽対応遅れ[br][br] スエズ運河庁のラビア長官は25日、コンテナ船周辺の水底の土砂しゅんせつ作業を視察。「早期に離礁させる能力がある」と自信をのぞかせた。シシ大統領の側近で元運河庁長官のマミシュ氏も、数日以内に事態が好転するとの考えを示す。[br][br] しかし楽観できる状況とは言い難い。幅約300メートルの現場で動けなくなった「エバーギブン」は愛媛県今治市の正栄汽船が所有し、全長400メートルの世界最大級の輸送船。離礁作業は運河内の潮位を見ながら進む。復旧に「数週間」かかるとの見方もある。[br][br] 海上貿易量の約1割を占める運河が遮断されたのは23日朝だが、運河庁は翌24日に初めて公式声明を発表。対応の遅れを批判された。25日にはオランダと日本の専門救助チームが地元当局と共に作業に当たると報じられ、同庁幹部も認めた。外部専門家の助力なしで解決が難しいことを浮き彫りにした。[br][br] ▽状況注視[br][br] 年間約1万9千隻が航行するスエズ運河は日本の船の利用も多い。日本船主協会の会員企業の船は2019年に延べ1374隻が通航した。[br][br] 欧州への自動車輸出でスエズ運河を使う三菱自動車の広報担当者は「現時点では大きな影響はないとみているが、注視している」と話す。マツダも「長引けば影響が出るかもしれない」(広報)と警戒する。[br][br] スエズ運河を通らず、アフリカ南端を迂回(うかい9するルートは、コンテナ船の場合で航海期間が1週間程度延びる。国内の海運大手はルート変更するかどうかを検討している。[br][br] 運河経由で日本に供給される原油などの資源は限定的で、エネルギー供給への影響は小さいとの見方が多い。ただ原油は輸送の停滞懸念から先物価格が一時、急上昇。問題が長期化し原油高になれば、日本のガソリン価格も上がり、家計に響く可能性がある。[br][br] エバーギブンは砂嵐の強風と視界不良で航路をそれたとみられる。マミシュ氏は、船長に一義的な責任があると述べたが、現場近くでベーカリーを営む男性(50)は「運河内の航行停止は初めてではない。天候が(座礁の)原因なら同じことが再度起きてもおかしくない」と話した。(スエズ、東京共同) スエズ運河の混雑状況(ロイターなどによる)