天鐘(3月16日)

「もったいない」という言葉を世界に紹介したのは、ノーベル平和賞受賞のワンガリ・マータイさん。2005年に来日した際、日本独特のその概念に感銘を受けたという▼今、世界で最も無駄にできないものといえば、コロナワクチンが挙がる。現時点では人類の希.....
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 「もったいない」という言葉を世界に紹介したのは、ノーベル平和賞受賞のワンガリ・マータイさん。2005年に来日した際、日本独特のその概念に感銘を受けたという▼今、世界で最も無駄にできないものといえば、コロナワクチンが挙がる。現時点では人類の希望の光。だからこそ、1瓶から6回のはずが5回しか取れないという、あの注射器の記事には、心底もったいないと思ったものだ▼その構造上、どうしても先端部分には液剤が残ってしまうらしい。聞けば単純な理屈だが、意外な盲点でもあった。思わず、最後までしぼって使い切るのが難しい歯磨きのチューブが浮かんできた▼ところで、ならばその注射器、これまでもいろいろな薬液を無駄にしてきたのではなかろうか。そんな疑問が、素人故に湧いてくる。ワクチンに限らず、貴重な薬剤が少しずつ廃棄されてきたのなら、それこそもったいない▼生活の中で気に留めずにきた、さまざまな「無駄」や「もったいない」に、改めて目が行く。膨大な量に上る食品ロスをはじめ、電気のつけっ放し、水道の出しっ放し…。「塵(ちり)も積もれば」である▼さて、ワクチンはいよいよ来月から高齢者への接種が始まる。大切な一滴に思いを致しながら、これを機に暮らしの無駄を見直すのも手だ。試しに、終わりが近い歯磨きを思い切りしぼり出してみた。思いの外、中身は多く残っていた。