【ワクチン接種】分配方法、国「丸投げ」で自治体苦慮

 高齢者への新型コロナワクチン第1弾接種の割り振り例
 高齢者への新型コロナワクチン第1弾接種の割り振り例
当初、限られたワクチンをどう分配したらよいか―。高齢者向け新型コロナウイルスのワクチン初接種を巡り、都道府県は難しい選択を迫られた。国は接種を4月12日から始めるとしたものの序盤の確保量は少なく、分配方法は「丸投げ」。矢面に立たされた自治体.....
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 当初、限られたワクチンをどう分配したらよいか―。高齢者向け新型コロナウイルスのワクチン初接種を巡り、都道府県は難しい選択を迫られた。国は接種を4月12日から始めるとしたものの序盤の確保量は少なく、分配方法は「丸投げ」。矢面に立たされた自治体は人口順か過疎地にも配慮するか、あくまで平等かなど接種第1号の優先順位付けで苦慮した形だ。[br][br] ▽納得感[br] 「高齢者人口が最も多い」。栃木県は国から最初に送られるワクチン2箱(約千人分)の割当先を宇都宮市とした。[br][br] 多くは高齢者数やこれまでの感染者数、準備状況を勘案し、道府県庁所在地に割り当てた。愛知県や京都府、宮崎県なども名古屋、京都、宮崎などの各市からスタートを切る。[br][br] 宮城県は仙台市に加え石巻市にも送るものの、担当者は「どこに送るかの決定に苦しんだ」と明かした。[br][br] 札幌と江別両市に割り当てた北海道の担当者は「本当は、国に配分方法を例示してほしかった。それがあれば市町村も納得しやすい」と語った。都道府県への第2弾(4月12日の週に出荷)分以降に1箱(約500人分)を受け取る予定の小樽市は「全ての人に平等に打てることが一番大事だが、優先順位を決めざるを得ない」とした。[br][br] ▽目配り[br] コロナ禍が続く中で「どの市区町村でも、早く打ちたいというのは当然だ」(首都圏の自治体首長)。沖縄県は選定基準の一つに「離島」を設け、宮古島市にも届ける。[br][br] 地域バランスを重視した自治体もある。熊本県は、高齢者数の多い熊本市に配るものの、第3弾(4月19日の週に出荷)までの分で、水俣市や天草市など県内に幅広く配る方針だ。[br][br] 担当者は「高齢者数のみを基準にすると、熊本市に相当量が割り振られてしまう。数量が少なく悩ましいが、試行的に多くの自治体に実施してほしい」と話した。[br][br] 東西に長い新潟県も地理的な偏りが出ないよう目配りした。2箱のうち一つは新潟市、もう一つを長岡市に置いた上で、周辺の市町にも送る。第3弾までに全市町村にワクチンを行き渡らせる。[br][br] ▽小分け[br] 奈良県も新潟県に近い考え方に立つ。第3弾までに受け取る計22箱(約1万1千人分)を一体として捉え、全市町村にまず均等に100人分を配り、残り分は高齢者の人数を基に傾斜加算するとした。県内の市町村との会議で提示して合意を得る手続きを踏んだ。[br][br] 大阪府はさらに「平等」に重きを置き、届いた4箱(約2千人分)を小分けにして、府内の全43市町村に高齢者の人口比で配分するとした。[br][br] 長野県は「明確な方針が決まっておらず、県立の医療機関にいったん供給」として、所在地の須坂市に2箱を送る。[br][br] 全国では4月26日の週の出荷まで1箱も届かない自治体が圧倒的。その中の一つ、愛知県日進市は4月15日から1日当たり千人に打つ体制を整えたが、実現しなかった。[br][br] 河野太郎行政改革担当相は3月12日の記者会見で、高齢者分で新たに5月9日までに約4千箱(約200万人分)を届けると表明した。欧州連合(EU)の輸出承認などの不確定要素もある。高齢者数に見合うワクチンがすぐに行き渡らなければ、順位付けの問題は残る。 高齢者への新型コロナワクチン第1弾接種の割り振り例