【ワクチン接種】医師と高齢者並行接種に 政府方針転換で地方苦慮

 医療従事者向けワクチン接種に関する都道府県の当初想定と方針転換後の日程
 医療従事者向けワクチン接種に関する都道府県の当初想定と方針転換後の日程
医療従事者らに対する新型コロナウイルスのワクチン接種が本格化する中、政府は医師らの接種期間を延ばし、高齢者と並行して接種する方針に転じた。当初は医療従事者をおおむね終えてから高齢者に移る想定だったが、医師と高齢者の接種が長期間重なるため、自.....
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 医療従事者らに対する新型コロナウイルスのワクチン接種が本格化する中、政府は医師らの接種期間を延ばし、高齢者と並行して接種する方針に転じた。当初は医療従事者をおおむね終えてから高齢者に移る想定だったが、医師と高齢者の接種が長期間重なるため、自治体は双方の接種「両立」に頭を悩ませている。[br][br] 高齢者ら一般住民より先に接種する医療従事者は、コロナ患者を治療する医師や看護師が中心。発熱などのコロナ疑い患者と接触の可能性がある自治体の保健所職員や救急隊員、集団接種に当たる医師や看護師も含まれる。医師らに早期に接種してもらい、医療体制を安定させ、高齢者への接種も安全で円滑に進められると想定していた。[br][br] 方針の変更はワクチンが当初段階で十分確保できないためで、「3月から6週間程度」としていた医療従事者への接種は修正を迫られる。医師らへの接種が厚生労働省の見込みを上回る480万人となったことも一因。2月10日~3月1日に行った共同通信の都道府県への調べでも総数は約465万人だった。[br][br] 菅政権にとって、4月からの高齢者接種が遅れることは避けたい事情もあった。政府関係者は「計画で『4月開始』とした以上、高齢者を1人でもいいから始めないと世論に響く」と漏らした。[br][br] 現在のスケジュールでは、医療従事者向けには3月1日の週から4月中旬までの1カ月半で少なくとも約250万人分を確保。残る230万人分については5月前半までに調達する。[br][br] 高齢者分は4月5日の週に全国に約5万人分を配布。月内合計では約140万人分を確保する見通し。3600万人とされる総数の4%程度にとどまり、誰から打つかの順位付けは自治体に委ねられる。[br][br] こうした当初段階でのワクチン不足に加え、同時並行で進める方針となったことで、自治体は戸惑う。[br][br] 集団接種では、本来高齢者に充てる予定だった時間帯を医療従事者向けに使うことも考えられ、高齢者の1日当たりの接種人数が当初計画より減る可能性がある。ワクチンを冷凍庫や冷蔵庫で保管する際、医師らの分か高齢者分かを区別するなど管理も煩雑だ。[br][br] 奈良県は小規模自治体が多いことから、県がワクチンを一元管理し、市町村の接種会場までの配送も手配。担当者は並行接種で会場が増える点を懸念し「ワクチンを運ぶ先が増えれば、輸送の手間も掛かる」と話した。[br][br] 佐賀県の職員は、感染リスク低減のため、自身の接種を終えた医師らが高齢者の対応に当たる想定だとし「同時並行だと、高齢者に接種する医師らの確保が難しくなる」と指摘する。 医療従事者向けワクチン接種に関する都道府県の当初想定と方針転換後の日程