【米政権に2国間協議要請】北朝鮮非核化の早期進展期待

 北朝鮮非核化を巡る立場
 北朝鮮非核化を巡る立場
政府が、バイデン米政権に北朝鮮との2国間交渉継続を要請したのは、多国間協議に比べて核問題が早期に進展するとの期待があるためだ。拉致被害者家族が高齢化し「解決に時間をかけられない」(政府関係者)との焦りも背景にある。ただ、トランプ前政権までの.....
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 政府が、バイデン米政権に北朝鮮との2国間交渉継続を要請したのは、多国間協議に比べて核問題が早期に進展するとの期待があるためだ。拉致被害者家族が高齢化し「解決に時間をかけられない」(政府関係者)との焦りも背景にある。ただ、トランプ前政権までの対北朝鮮政策の検証作業を進める現政権がいつ対処方針を定めるのか見通せない。「非核化が前に進むのは困難だ」(外交筋)ともささやかれる。[br][br] ▽埋没懸念[br][br] 「米朝対話を続ける方が、多国間交渉よりも効率的だ」。外務省幹部はこう指摘し、米高官にも伝えたと明かした。日本は米政権が検証作業で、同盟国の意見に耳を傾ける姿勢を歓迎している。[br][br] 核問題を巡っては2003年、日米韓と北朝鮮に中国、ロシアを加えた6カ国協議を始めた。05年に北朝鮮の核放棄を明記した共同声明を採択したが、検証方法の協議で折り合わず中断。09年に北朝鮮が離脱を表明した経緯がある。[br][br] このため政府は、多国間協議を短期間に再開するのは困難とみる。実現しても、中ロと韓国が北朝鮮への融和姿勢を強めて「圧力路線の日本は埋没する」(首相官邸筋)との懸念もある。[br][br] 日本が最重視する拉致問題の解決を巡っては、横田めぐみさんの父滋さんが昨年死去。母早紀江さん(85)らも高齢化しており、停滞が続く現状への焦燥感は強い。政府関係者は「米朝交渉で米側から拉致を提起してもらえば、日朝接触の可能性は高まる」と望みをかける。[br][br] ▽現状維持[br][br] バイデン政権は北朝鮮の非核化実現を掲げるものの、歴代政権の対北朝鮮政策の検証作業が続き、米政府関係者は「作業に期限は設けていない」と言及。米メディアからは「こうしている間にも北朝鮮の核・ミサイル開発は進む」と先行きを不安視する声が出始めた。[br][br] バイデン大統領は昨年の大統領選中、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記を「悪党」と呼び、明確な成果がなかったとして、首脳会談を重ねたトランプ前大統領の外交手法を批判した。[br][br] 新政権ではトランプ氏のトップダウン的手法から、従来の事務レベル協議の積み重ねに戻るとみられる。検証作業はブッシュ政権当時から6カ国協議を担当し、トランプ政権でも米朝交渉に携わった対北朝鮮のエキスパートであるソン・キム国務次官補代行(東アジア・太平洋担当)らが中心となって進めている。[br][br] しかし、政権発足から1カ月以上過ぎても対処方針は見えてこない。関係国筋は「現政権は幹部の多くが非核化実現に懐疑的だ。北朝鮮は核実験やミサイル発射を中断しており『現状維持』で良いと考えている節がある」と、非核化交渉の停滞を危ぶんだ。(東京、ワシントン共同) 北朝鮮非核化を巡る立場