【ワクチン争奪戦】中印ロ、供給合戦白熱 覇権拡大図る

 中印ロの新型コロナウイルスワクチン外交
 中印ロの新型コロナウイルスワクチン外交
新型コロナウイルスワクチン争奪戦が激化する中、中国、ロシア、インドが覇権拡大を図ろうと、自国製ワクチンを途上国や中進国に提供する外交攻勢を強めている。欧米製入手に苦心する先進国の奪い合いを尻目に、各地で供給合戦を展開。接種遅延が際立つ日本は.....
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 新型コロナウイルスワクチン争奪戦が激化する中、中国、ロシア、インドが覇権拡大を図ろうと、自国製ワクチンを途上国や中進国に提供する外交攻勢を強めている。欧米製入手に苦心する先進国の奪い合いを尻目に、各地で供給合戦を展開。接種遅延が際立つ日本は周回遅れの様相だ。[br][br] ▽全世界へ[br] 「中国製を歓迎する途上国からのニュースが続いている」。中国外務省の華春瑩(かしゅんえい)報道局長は19日、定例会見で笑みを浮かべた。要請のあった53カ国への無償提供を推進。主要な提供先は東南アジアやアフリカ諸国だ。[br][br] 無償「第1号」は今月1日に空輸で届いたパキスタン。国境問題を抱えるインドと敵対するパキスタンとは「鉄」の友好関係だ。インドから調達する意向を早期に示したミャンマーにも1月、無償提供30万回分を約束した。[br][br] 巨大経済圏構想「一帯一路」で関係の深い東欧諸国も購入。アラブ首長国連邦(UAE)やインドネシアは臨床試験(治験)協力国だ。欧米製との併用国も多く、購入希望国は27に。供給先は全世界に広がり国を挙げての生産能力確保に余念がない。[br][br] ▽抗争[br] コロナ前は途上国で必要なワクチンの6割を生産し「世界の薬局」(ジャイシャンカル外相)を自任するインド。中国との抗争は激しく、ミャンマーにも170万回分を無償提供した。アフリカや中東、カリブも含む少なくとも15カ国に無償提供する。[br][br] 他国製に比べ安価で温度管理も容易とアピール。有償、無償合わせ3600万回分を超える。自国では国産と、英国で開発されインドで製造するものの計2種を接種。他国には主に後者を提供しているとみられる。[br][br] 「追加ギフト10万回分を持ってきた」。ジャイシャンカル外相は20日、訪問先のモルディブで、両国の「特別な関係」の証しとして無償提供に言及。続いて訪れたモーリシャスでも22日、有償提供とみられる10万回分を自らが引き渡した。モルディブもモーリシャスも、中国が影響力を広げるインド洋の島国だ。[br][br] ▽半値以下[br] 昨年8月に世界初のワクチン「スプートニクV」を承認したロシア。友好国の旧ソ連諸国や中南米、アフリカに広がる一方、最新の治験で9割超の有効性が確認されたのを追い風に、欧州でも前向きな声が上がる。[br][br] ワクチン開発を支援するロシア直接投資基金(RDIF)によると、25日までに世界の37カ国が登録。第2段階の治験終了後にスピード承認されたことから安全性や品質に懸念が出ていたが、2日、英医学誌に発表された第3段階の中間結果の論文で91・6%の有効性が示されたことが風向きを変えた。[br][br] 1回分10ドル(約千円)以下で米製の「2分の1以下」と売り込む。年内に世界5億人以上に提供を目指すが、国内では接種を始めた昨年12月以降、2回終えたのは約170万人超にとどまり、供給不足の懸念がある。[br][br] 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は17日「自国民の接種が不十分なのに、なぜ何百万回分もの提供を進めるのか」と疑問を呈した。外交合戦には最速で接種が進むイスラエルも参入。パレスチナと帰属を争う聖地エルサレムへの大使館移転に前向きなチェコやホンジュラスへ、余剰の米製の提供を進める。(北京、モスクワ、ニューデリー共同) 中印ロの新型コロナウイルスワクチン外交